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半田広宣特別コラム

デジタル社会の弊害



壊れゆく意識

内と外、心の境界が壊れ始めている

こころのサプリメントを発売して四半世紀を過ぎようとしている現在、メンタルヘルスの問題は当初より複雑化し、解決が難しくなってきています。
2000年代初頭までは、意識が外か内か、片方の極性に偏ることによって起こる心のトラブルが大半でした。しかし、2010年を過ぎたあたりから、完全に意識のバランス機能が壊れ、心身の「揺らぎ」のリズムをほとんど取れない症状に陥る人が出てきています。

たとえば近年、注目されている子どもの発達障がいでは、そのバランスの乱れが顕著に出ています。物をひっくり返すくらい攻撃的になるときもあれば、布団から出てこないくらい内にこもるときもある。「揺らぎ」のリズムがとれず、意識が錯綜していると言ってよいでしょう。

また、大人の社会でも、おとなしそうな雰囲気の人が突然キレたり、他人に対して高圧的だった人が突然うつになる、という事例も数多く見られます。
そういう方々の意識はバランスを取るどころか、意識の内と外との境界が壊れてしまっている可能性さえあります。そのせいかどうかはよく分かりませんが、自殺者の数もまた再び上昇傾向にあるというデータも出ており、とても憂慮すべき状況です。

デジタル社会への急激な変化

現代の社会状況で、この「壊れゆく意識」が具体的に現れている象徴的な事例といえば、何と言っても「ネットの炎上」でしょう。SNS上でのコミュニケーションは、コロナの影響もあり、ものすごい進歩を遂げていますが、それに比例するようにインターネットでのコミュニケーショントラブルも増える一方です。

しかし、たびたび炎上を起こす人たちもリアル世界では、落ち着いたジェントルマンだったりします。ですが、ひとたびネットの世界に入ると、本人の地位や立場が危うくなるほどの悪態で、人を誹謗していたりします。これも意識の中でリアルとデジタルの境界線が壊れているのが原因です。

特に気をつけたいのは50代以上の方々です。これまで立場や責任など、社会的な意識の働きによって心の乱れを抑えていた人が、リアル世界からデジタル空間に急に入ってしまうと、無意識による感情の抑圧が外れ、抑えていた負の感情が爆発してしまうケースが多々あります。
デジタルの意識空間には、抑圧していた超自我を外す働きがあり、社会全体がデジタルで構築されようとしている今、昔のように心を安定的に保ち続けるのは、難しいものになってきています。

ネット上でコミュニケーションを行っている状況の意識は、人と人が面と向かって話をするときに生まれる意識とは全く違うものです。こうしたデジタル化の浸透とともに、意識が壊れていく人たちもまたどんどん増えてくるでしょう。炎上はその壊れた意識が表に現れた一つのパターンなのです。

また逆に、自分の部屋から出ず、引きこもりを続けるという心理も、デジタル社会の弊害のようなもので 、「 face to face 」でコミュニケーションを取りたくないという意識が表面に出てしまったものです。心のトラブルを引き起こす環境が当たり前の日常になったこの時代、意識のバランスをとるためには「自分の中心軸」を失わないことが大切です。

2023年3月-ブロッサムNo.91(抜粋)

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半田 広宣

半田 広宣Kohsen Handa

福岡県生まれ。1983年心身を健康にする未来型健康商品の開発・販売を始める。株式会社ヌースコーポレーション代表取締役。現在、武蔵野学院大学スペシャルアカデミックフェロー(SAF)。

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