半田広宣コラム 「ヌースの時間」
弊社の通信誌『Blossom(ブロッサム)』も今号で第79号になる。『ブロッサム』の前身である「ヌース通信」の第1号の創刊が1997年5月だったから、もうあれから22年の月日が流れたことになる。
「ヌース通信」の創刊当時は、取り扱いアイテムもヌースのエネルギー商品だけで、私自身がすべての記事を書き、編集もやっていた。その後、2001年に「ヌーススピリッツ」、2005年に「ヌースマインド」を発売。その間、編集スタッフも育ち、誌面も必要な情報だけをピックアップしてコンパクトにし、2006年の「ヌースアイ」の発売時からはミドルエイジの女性を意識した紙面作りに変えていった。そのときのことは今でもよく覚えている。
知人の作曲家であるウォン・ウィン・ツァン氏に弊社のイメージ曲の作曲を依頼し、出来上がってきた2曲を『ブロッサム』というミニアルバムにして、ヌース製品のユーザーにプレゼントした。
このときのアルバムのイメージがヌース製品の理念にピッタリだと思ったので、2011年の「ヌースエヴァ」発売時に季刊誌の名称も『ブロッサム』に変更した。そういう意味で、この『ブロッサム』という名称にはとても思い入れがある。
ご存知のように、『ブロッサム』には英語で「花が咲く」、つまり「開花」という意味がある。なぜ、会社のイメージ音楽が入ったアルバムタイトルを『ブロッサム』にしたかというと、私自身昔から桜の花が大好きで、毎年、春が近づいてくると、近所の桜の木を毎日のように観察しに行った思い出があるからだ。それまで寒々と痩せ細っていた小枝の一群が、一面の薄桃色に染まるあの開花の風景がまるで魔法のようで、大好きなのだ。
どんな植物も、花は自らの殻を破るようにして内側から咲いてくる。そこには命の力が内から湧き出てくる姿がある。発芽だってそうだ。種子は殻を内側から破って芽を出す。何も植物だけに限らない。さなぎが蝶へと変態を起こすときだってそうだし、人間の胎児にしても内側から何度も細胞分裂を起こしながら成長していく。生命の息吹というものは、つねに「内から」発してくるものなのだ。内に秘められていた力が外へと立ち現れてくること。それが命のあり方というものだ。
そう考えると、ひょっとすると自然全体が「内」を「外」へと表現している巨大な生き物ではないかとさえ思えてくる。事実、古代のギリシア人たちは、自然の成り立ちのことを「フィシス」と呼んでいた。
この「フィシス」は科学がネイチャーと呼んでいる「自然」とはかなり意味合いが違う。ネイチャーとしての自然はどうしても外側から組み上げられた自然をイメージさせる。現代の科学者たちが語るように、物質と物質が組み合わさって自然が成り立っているイメージだ。しかし、「フィシス」としての自然は源泉から泉が涌き出てくるがごとく、内側から「なる」ものなのだ。
まるで自ら意思を持つかのように、草は草になり、森は森になり、花は花になる。そういうイメージだ。こうした内側からの生命の発生は機械には決して真似することができない。生命と機械との違いも、生命がこの<内から ― なる>というところにある。
さて、今回の『ブロッサム』は第79号。この季刊誌を花に例えるなら、弊社の内なる理念が79回にわたって外へと咲いたものということになるだろう。奇しくも、この「79」という数は金の原子番号と同じだ。金は高貴さ、純粋さ、豊饒(ほうじょう)さの象徴でもある。次号からはその心持ちで、新しい『ブロッサム』を咲かせたいと思っている。
2020年3月-ブロッサムNo.79
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福岡県生まれ。1983年心身を健康にする未来型健康商品の開発・販売を始める。株式会社ヌースコーポレーション代表取締役。現在、武蔵野学院大学スペシャルアカデミックフェロー(SAF)。