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半田広宣コラム 「ヌースの時間」

不眠の夜とエネルギー革命



不眠の夜とエネルギー革命

先日ネットニュースを見ていて、「ドイツの新記録!電力の85%が再生可能エネルギーから」という記事が目に留まった。ドイツでは、バイオマス、水力、風力、太陽光などによる発電で、なんとある日一日の国内の電力消費の85%が賄えたというのだ。このデータを公表した団体(アゴラエネルギー革命)の話では、2030年にはこの数値がごく普通になるという。

そして、その数日後、今度はスイスで新エネルギー法の是非を問う国民投票が行われ、賛成約6割、反対約4割で新エネルギー法が可決された。これによってスイスでは2050年までに脱原発を行い、再生可能エネルギー100%の社会の実現を目指すという。

環境意識の違いと言ってしまえばそれまでだが、我が国のエネルギー政策の現状はどうか。2013年に大飯原発の2基が停止して以来、約2年もの間、原発稼働ゼロ状態が続いていた日本だが、2015年8月と10月に川内原発の1号機と2号機が連続して再稼働。去年は高浜原発4号機も再稼働し、この秋には大飯原発3・4号機の再稼働も決定した。「喉元過ぎれば熱さ忘れる」とは、まさにこのことだ。

原発事故で国民全体が恐怖のどん底に叩き込まれたのはわずか6年ほど前の話である。それが今では何事もなかったかのように、原発がなければ電気代が上がって産業界もダメージを受ける―という前世紀の議論が当たり前のように通用している。震災当時盛んに提案され、一時は大ブームとなった太陽光発電も、政府のヤル気のなさも手伝って、ほとんど空中分解状態にある。

環境省は一応「2030年に自然エネルギーでの電力30%超へ」をスローガンに掲げてはいるものの、いざ、国のエネルギー政策の方に目を転じると、現在でも石炭火力発電所の新設、建て替えなどを積極的に行っており、再生可能エネルギー移行への本気度を全く感じない。

これだけ地震の多い国で原発を中心にしたエネルギー政策を進めること自体がいかにナンセンスか、頭ではほとんどの国民が分かっているにもかかわらず、結局のところ、体質は何も変わっていないし、何も変えられないでいる。

再生可能エネルギー社会を実現していくためには、国と国民が心底、本心から望まないと難しいだろう。例えば、政府側は国内で使用される照明器具をすべてLEDに変える政策を実施し、深夜放送の自粛をテレビ局に要請する。国民は、テレビの保有を1家に1台にし、惰性で見ているような番組は見ないように心がける。それだけでもおそらく総電力消費量の約1割以上が削減されるはずだ。

今の時代、昼も夜も世の中自体がまるで不眠の夜に似てはいないだろうか。眠れない夜は疲れと倦怠が姿を表す。そこで私たちはふと気づく。目覚めているのは夜のほうではないのか、と。床についてもその容赦ない目覚めの中で私は全く無力であり、わたしの良心を支えるものはどこにもなく、ただ不安が入り混じった夜の静寂の中で宙吊りにされる自分がいる。

わたしたちはそろそろ効率主義というものが、それ自身、社会的現実に与える影響には全く無関心であるということに気づき何かを革新しなければならないのではないか。でなければ、不眠の夜は永遠に続く。

2017年6月-ブロッサムNo.68

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トランプ旋風が灯す不穏な種火

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