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半田広宣コラム 「ヌースの時間」

天と人の心の繋がりを意識する



天と人の心の繋がりを意識する

この7月以降、気候が変だ。中国地方を異常な豪雨が襲ったかと思えば、観測史上、最高温度の猛暑が列島を包み、各地で熱中症で亡くなる人をたくさん出している。挙げ句の果てには、台風の進み方までがおかしい。

この異常さは日本に限ったことじゃない。北アフリカのニジェールでは何と51度の高温を記録。米西海岸でも類を見ない記録的な高温によって山火事が多発している。21世紀になって「異常気象」という言葉は何度となく耳にしてきたが、これほどの「狂い」は初めてだ。地球全体の環境が明らかに以前とは様変わりしたことは誰の目にも明らかだろう。

2011年、東日本大震災の折りに、当時の東京都知事が「これは天罰だ」と言って非難を浴びたことは記憶に新しい。しかし、ここ最近の異常気象が引き起こしている災害に対して、「これは自然からの報復である」と言っても、さほどの顰蹙は買わないだろう。

10年前に当時、米国の副大統領アル・ゴアが「不都合な真実」という映画を作り、二酸化炭素の増加による地球温暖化が地球環境にどのようなダメージをもたらすかを切々と訴えた。しかし、今もわたしたちは何も変わらない。
経済発展を第一のスローガンに掲げ、大量生産、大量消費を相変わらず続けている。当のアメリカに至っては、温暖化対策の新たな国際的枠組みであるパリ協定からの離脱を表明した。無計画な自然開発はとどまるところを知らない。森林の伐採による地球の砂漠化や野生動物の絶滅は着実に進んでいる。魚の乱獲も凄まじく、水産資源の枯渇はますます加速している。こういう状態で自然が黙っているはずがない。

昔の日本人は天災が起こると、神の怒りを鎮めるために神に魂供物を捧げ、儀式や祭を行ってきた。
天変地異を引き起こし、疫病を流行らせ、人の心を荒廃させて、戦を起こす働きがある「荒御魂(アラミタマ)」を、ほどよい雨や日光の恵みなど、神の穏やかで平和的な側面を表す「和御魂(ニギミタマ)」に変えるための鎮魂の儀式である。
特に和御魂が働くと、人々は奇魂(クシミタマ)の力によって智慧を発揮し、自然は幸魂(サキミタマ)の力によって豊かな糧をもたらす。いわゆるこれが「一霊四魂」の思想である。

ついつい興味が湧いてきて、災害をもたらすという荒御魂についていろいろと調べていくと、旧事本紀という古い歴史書に「オキツカガミとへツカガミという二枚の鏡が大国主の荒御魂である」という興味深い記述があった。
大国主は、ご存知の通り出雲大社に祭られる日本の代表的な神さまのことで、オキツとヘツには日本の古語で「向こう側」と「こちら側」といったような意味がある。つまり、神様が「向こう」と「こちら」に鏡を持っているときは神の魂は荒ぶり災害を起こすということだ。これはどういう意味なのだろうか?私なりの直感がすぐに閃いた。

人間は「他の人」に見られることによって「自己」を作るという考え方が心理学にはある。とすれば「オキツカガミ=他の人」のことであり「ヘツカガミ=自己」のことではないのか。もし、わたしたちがお互いの相手の鏡に映し出される自分に固執して、争いや諍いで心穏やかでなければ、その力の集まりは荒御魂となって自然を荒れたものへと変える。
かたや、自他関係が調和を持ち、恐怖や不安の感情を抱かなければ、その力の集まりは文字通り和魂となって、自然は人間に真の豊かさをもたらす。
そして、また、社会全体がそういう自他関係で満たされていれば、ことさら物質的な豊かさに固執する必要もないだろう。

姿を変えつつある今の地球環境とは、まさに今のわたしたちの心の反映でもあるのではないだろうか。

2018年9月-ブロッサムNo.73

「日本スゴイ」という感覚の裏側にあるもの

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