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半田広宣コラム 「ヌースの時間」

新たにやってくる時代に向けて



新たにやってくる時代に向けて

いよいよ、新元号が4月1日に閣議決定され公表される。それに続き、今年5月1日には新天皇が即位される。5月1日は「即位の日」として祝日となり、祝日法の規定でその前後も休日となるらしく、4月末から5月初めにかけてのゴールデンウイークは10連休になり、「祝賀ムード」で街は大いに賑わうことだろう。

元号の起源は紀元前1世紀頃の中国にあるらしい。日本で正式に元号が使われ始めたのは645年の大化の改新からだと言う。TVや映画の歴史ドラマでもおなじみのように、昔は君主がその時代時代の精神を象徴していた。一人の君主が統治している間は、その君主が持つ霊力が国土全体にも及ぶと考えられていた。だから、君主が変われば時代も変わる。だからこそ、新しく元号も変える必要があった。

もちろん、今の時代、君主の霊力などを信じる人はほとんどいないだろうが、単なる数字だけで示される西暦よりも、時(とき)に個別の名称がついてる方が、時間に対する私たちのイメージもふくよかになるし、生活にも潤いを与える。現在では、こうした元号の制度は日本にしか残っていないようなので、どうか、この伝統を守っていきたいものだ。

新天皇の即位と言えば、大嘗祭(だいじょうさい)も気になる。つい最近、秋篠宮文仁親王が「宗教色が強いものを国費でまかなうことが適当かどうか」と公に疑義を呈し、物議を醸したが、大嘗祭とは毎年11月23日に宮中と全国の神社で行われる新嘗祭(にいなめさい)が、新天皇即位の年には、皇位継承の儀式も兼ねて行われるものだ。今上天皇が即位したときの大嘗祭がNHKで中継されていたのはよく覚えている。
大嘗祭では、新天皇が悠紀(ゆき)殿、主基(すき)殿という神殿で特別な儀式を執り行う。一般にはこの儀式は「豊作を祝う農耕儀礼」とされているようだが、その真の内容は古神道に基づいた秘儀であり、宮内庁のごく一部の人たちが知るのみで、外部には一切知らされていない。

かつて、民俗学者の折口信夫は、この秘儀を天皇霊の復活の儀式として語った。天皇は「天皇霊」を受け入れることで完全な天皇として「復活」を遂げるというのだ。つまり、折口氏の説によれば、天皇という存在は血統ではなく、天皇霊という不死の霊魂が肉体を乗り換えることによって、天皇をこの世に体現させる。

科学主義全盛のこのご時世に、こうした非科学的なことを国費を使って行うことに疑問を持つ人たちもいるかもしれない。しかし、天皇という存在が日本国、日本国民の象徴であるのなら、私たちは日本人の中を満たしている霊性というものをイメージする意味でも、こうした伝統的な儀式が持つ意味に再度、注意を払わなければならないのではないか。コンピュータの進歩で人と人との心のつながりが見えにくくなった世の中だからこそ、心の世界とは何かを考えるためのいい機会だと言えるだろう。

いずれにせよ、「平成」の世は終わり、新しい時代が幕を開ける。ヌースコーポレーション設立が平成5年だったことを考えれば、我が社もほぼ「平成」と歩みを共にしてきたことになるが、今後は平成と比べ物にならないスピードで世の中が様変わりしていくことは確かだ。世の企業家たちは「時代に乗り遅れるな!」が合言葉だが、我が社の場合は「時代に乗りすぎてはならない」がそれである。

テクノロジーがいかに発達しようとも、人間は心がなければ生きていけない。そして、その当の心は目には見えない。新しくやってくる時代が心を忘れることのないよう切に願いたい。

2019年3月-ブロッサムNo.75

昭和、平成、そして令和に生きて

水に潜む霊性に思いを馳せて

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半田 広宣

半田 広宣Kohsen Handa

福岡県生まれ。1983年心身を健康にする未来型健康商品の開発・販売を始める。株式会社ヌースコーポレーション代表取締役。現在、武蔵野学院大学スペシャルアカデミックフェロー(SAF)。

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