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半田広宣コラム 「ヌースの時間」

食に宿る力



食に宿る力

最近、糖質制限ダイエットというのが流行らしい。昔はダイエットというと、脂肪分を多く含む乳製品や肉類など控えるというカロリー制限が定番だったが、現在では、肥満の大敵は炭水化物など糖質の摂取過剰にあるということになっているようだ。

糖質を摂ると当然、血糖値が上がる。血糖値の上昇を押さえるためにインスリンが分泌される。インスリンは糖質を脂肪に変え、同時に脂肪の分解を押さえる働きをする。結果的に、インスリンの分泌量が増えれば増えるほど脂肪が体内に蓄積され太りやすくなる。だから、痩せるためには糖質の摂取を控えることが栄養学的に一番の有効策となるそうだ。そのため糖質制限ダイエットでは「肉は食べてもいいが米は控えよう」という方法論になるのである。

実際、わたしの知人でもラーメン屋に行って麺は食べずにスープと具だけを食べる人物がいる。なぜ、そんなことをするのかと尋ねたら、グルメ三昧で美食を繰り返して中性脂肪の数値がかなり上がってしまったので、成人病予防のためにジムに通って糖質制限ダイエットの指導を受けているのだという。おまけにジムに払った費用が数十万円というから驚いてしまった。

牛一頭の飼育に人間の約10人分の穀物を消費しているというのは有名な話だが、穀物が健康を害するということにでもなれば、健康維持のために肉食が奨励され、自然破壊はますます加速されることになる。そもそもあれこれ食べすぎているから、こういう話になるだけで脂肪過多なら単に粗食に戻せばいいだけの話である。

昔の日本人の食生活は「穀物+大豆+野菜+魚」が主だった。日本人の身体は過去二千年以上にわたって、米をはじめとする炭水化物が主成分の穀物に支えられてきた。わたし自身はあまりに栄養学に偏りすぎた現代の「食」分析にはなじめない。「食」は単に科学的な栄養の問題だけで成り立っているわけではないだろう。

「食」とはその土地に住む人々の地域性や歴史性と結びついた文化の在り方である。日本人の主食である米に関して言うなら、古代の日本では米は霊の分身とされていた。太陽とその光を浴びて育つ稲穂は「本霊(もとみたま)」と「分霊(わけみたま)」の象徴でもあり、「イネ」という言葉の由来は「命の根」や「息の根」にあるとも言われ、「米(こめ)」自体の語源も神聖な力が「こめ」られたものだという説があるくらいなのだ。わたしたちの身体が単なる物質ではないのと同様、身体を支える食べ物たちもまた単なる物質などではない。そこには、科学ではまだ見出すことのできていない未知の力が宿っているのだ。

そう言えば、最近、俳優の榎木孝明氏が30日間の不食に挑戦し、記者会見を開いて話題になった。榎木氏が言うには、体重は9キロ減ったが、体調にまったく問題はなく、空腹感を覚えることもなかったらしい。これが本当なら、わたしたちの今までの常識は覆されることになる。

万が一、榎木氏のような不食者たちがたくさん出てくるようなことにでもなれば、科学者たちも人間の生命力について真剣に考えざるを得なくなってくるかもしれない。実際、私の知り合いにも不食実践者がすでに3人もいる。全員、かなり痩せてはいるが、健康を害している様子は全くない。もちろん、わたし自身は不食にトライしようなどという気は無いが、ひょっとすると今までの栄養学の常識が大きく崩れ去る時代が迫ってきているのかもしれない。

2015年9月-ブロッサムNo.61

心の結束がもたらす無限の力

絶やすべきでない祭りの火

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