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半田広宣コラム 「ヌースの時間」

心の結束がもたらす無限の力



心の結束がもたらす無限の力

ラグビーのワールドカップ大会で、日本が強豪の南アフリカとサモアを下し、世界中のラグビーファンを驚かせたニュースは記憶に新しい。残念ながら決勝トーナメントには進めなかったが、この快挙はもっと賞賛されていいように思う。
特に世界最高勝率を誇る優勝候補の南アフリカを破ったことはラグビー界だけではなく、世界のスポーツ界からも近年まれに見る史上最大の「ジャイアント・キリング」とまで騒がれている。「ジャイアント・キリング」とは「弱者が強者を倒す」という意味だ。

ラグビーという競技は野球やサッカーなどに比べて、番狂わせが一番起こりにくいスポーツだと言われている。おそらく、それは競技内容に体力と走力がダイレクトに影響することと、ボールを直接的に手で扱うスポーツだからだろう。偶然的な要素が入り込みにくいスポーツなのだ。
体格差がモノをいうラグビーにおいて外国人選手が加わっているとしても、日本代表の平均身長と体重は参加国中では最下位だったと言われる。実際、見た目だけでも圧倒的差があるのは一目瞭然であった。身体も小さく、これまでワールドカップでわずか1勝しか上げたことのない日本がそんな相手に勝ったのだから、まさに奇跡としか言いようがない。

これほどの戦いぶりは、関係者はもちろん当の選手も驚いたかもしれない。そこには監督を初めコーチやトレーナー陣、何より選手一人一人のそれこそ血の滲むような努力と団結があったのだろう。「柔能く剛を制す」と言うと古臭く聞こえるかもしれないが、体力の劣るものは、精神力と頭脳力で相手を遥かに上回らなければ、こんな結果は出せない。
集団の団結力や結束力をただいたずらに讃え上げることは、何だか体育会系のノリのように思えて倦厭されるかもしれない。しかし個人主義が蔓延し、それぞれが自由に生きることを善しとする昨今の風潮にもかかわらず、個人個人の精神面で劇的な改革があり、それらが繋がり合うことにで真のチームワークが生まれ、日本代表が強靭なチームへと変わったのは事実だ。

人の繋がり方には二つの種類がある。それは分かりやすくいうと、外での繋がりか内での繋がりかの違いだ。外の繋がりとは、一言でいうなら、自分の利益や立場を守るために結束した方が「得だ」と考えるときの結束。政策理念などは二の次で、次々に所属政党を渡り歩く政治家をイメージすれば分かりやすい。また、スローガンばかりを声高に叫び結束を強要された時に感じる抵抗感は、外の繋がりを求められている場合が多い。

一方、内の繋がりはそれとは全く違った結束である。心の結束と言えば分かりやすいが、何よりこのときの心というものは自分の心ではない。「自分がヒーローになろう」というような外の繋がりを求める気持ちだけでは今回のように心が持った無限の力が引き出されることはなかっただろう。選手たちのインタビューを聞いていると「無心」と言う言葉がでてきた。話題の五郎丸ポーズも無心になるための儀式だそうだ。

限界までの努力と奇跡の勝利を重ねることで、ひとりひとりが無心に近づいていき、人間の集団がチームという生き物となってラグビーという競技の中に溶け込んで、心の無限の力が発揮されたのである。
心の結束が持つ無限の力を再確認した今、スポーツ界だけなく、世界が「内の繋がり」を持つ日がやってくることを願いたいものだ。

2015年12月-ブロッサムNo.62

負の自意識の時代

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