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半田広宣コラム 「ヌースの時間」

地震を教訓とした真の街づくりへ



地震を教訓とした真の街づくりへ

東日本大震災の記憶もまだ新しいうちに、今度は九州で震度7の巨大地震が起こった。それも4月14日と4月16日に立て続けて。この地震の発生から1ヶ月以上過ぎた今でも熊本の地はまだ小さな余震が頻発している。1ヶ月間での余震の合計回数は大小含めて約1500回程だという。明らかに異常で、1日平均50回揺れていることになる。気象庁や地震の専門家は、今後周辺地域でさらに大きな地震が起きる可能性も否定できないと声明を出している。

考えてみれば、この30年間に日本では、1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災、そして今度の熊本大地震と震度7クラスの大地震が3度も起こっている。世界自体が巨大地震活動期に入っているという報告もあり、こと日本列島だけに絞っても数百年規模の活動期に突入しているという専門家もいる。これら三つの地震のうちどれかが自分の住んでいる地域で起こったとしたら・・・今回、深夜に連続する携帯の非常警報と、それに続く大きな揺れを私も体験したが、実際の熊本の被災者はどれほど恐ろしい思いをしただろうかと、想像するだけで心が痛む。

今回の熊本地震では県内の避難者数だけでもピーク時には10万人を超えた。これは熊本県の総人口の約6%に当たる数だ。もし、これが首都圏だったら・・・と考えるのは杞憂だろうか。東京だけでも総人口は約1300万人。単純計算でも避難者の数は約80万人は下らないだろう。実際の避難者は100万人を超えるかもしれない。そんな莫大な数の人たちが一体どこに避難できるというのか。それも道路や電気、ガス、水道などのライフラインがズタズタに切断された上での話なのだ。

今回の熊本の場合は農業従事者も多く、実際、大都市によりもはるかに地域同士の協力が密であり、農業地域のため米や野菜などの食料供給がある程度、自発的にできていたとも聞く。それでも、ご存じの通り食料は不足した。地域の共同体がほとんど機能していない東京だったら、大混乱が起きても不思議ではない。すべてのスーパー、コンビニの食品は1日で消えてなくなるのだ。
単に被災者だけの問題ではない。首都経済圏が完全にマヒしてしまえば、日本経済自体にも大打撃を与える。銀行や役所もそのほとんどが機能を停止するだろう。地価は暴落、驚異的なスピードで復旧した九州自動車道や新幹線とは違い、鉄道、地下鉄、首都高などが機能を回復するには膨大な時間がかかり、通勤手段はなく、企業本社の多くが休業になれば、日本全体が経済的パニックに陥る。

こうした大地震が起こるたびに、地震のメカニズムについての解明はすすむのであろうが正確な地震予知は今の科学では不可能だ。政府の税金の使い方には様々な議論があるが、ここはひとつ地震に強い都市の在り方を1からプランニングし、辛抱強く諸都市の仕組みを作り変えていくことにお金を使った方がいいのではないか。結局のところ、利益優先だけを考えてきた資本主義の価値観が本来安心して暮らせることの前提の都市の在り方までをも歪めているのである。
街で生きる私たちもそうだ。街が栄える、都市化することにはそれ相応のリスクがある。利益追求型の都市が多く生まれるのは、私たちの価値観も当然反映している。今こそ人々が互いに支えあうことのできる新しい都市の在り方について改めて考えるべきだ。次の大地震が明日、わが街に起こっても何の不思議もないのだから。

2016年6月-ブロッサムNo.64

デジタル空間と現実空間のはざまで

負の自意識の時代

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