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半田広宣特別コラム

私たちはなぜ眠るのか



私たちはなぜ眠るのか

眠りから得ているもの

コロナ禍の出口がなかなか見えないせいもあるのだろうか。ここのところ、睡眠に悩む人が急増してきているらしい。
コロナ禍で仕事を失った人はもちろんのこと、仕事が減った人、いつ仕事がなくなってもおかしくない人、子供の将来に不安を抱える人たちなど、人生設計が大幅に狂わされ、将来への強い不安を抱く人たちは少なくない。おまけに、外出して気晴らしすることもできず、自宅待機が家計の出費により拍車をかけるとなれば、ストレスが溜まらない人はまずいない。コロナ禍に起因するこうしたストレスの蓄積が当然、睡眠にも悪影響を与え、多くの人をコロナ不眠に陥れているのだろう。

眠りは人間の心身の健康にとって最も重要な活動である。眠りが健全でなければ体の機能が低下するのはもちろんのこと、交感神経が優位のまま自律神経の切り替えもうまくいかなくなり、精神面でもイライラ、落ち込み、焦りなど、精神の不安定さが増す。
最近の動物実験では、不眠状態が続くと活性酸素種の濃度が腸内で異常に高くなり、昆虫などは20日間ほどで死に至るとも言われている。現代人が思っている以上に、眠りの質の良し悪しは私たちの心身に大きな影響を与えているのだ。

それにしても、眠りとは一体何なのだろうか。私たちはなぜ眠るのだろう。

眠りの中で私たちは生命力のエッセンスを得ている。その実感は疑いようがない。しかし、私たちは眠りから具体的にどんなエネルギーを得ているというのか。この謎を解くためには、科学のように単に眠りを外から見ただけでは分からない。眠りの内側に分け入って、私たちの内なる心、魂の側から考えてみる必要がある。

起きているときと眠っているときの違い。それは何と言っても、眠りの中では人は時間の流れを感じないということだ。

熟睡した時など、あっという間に朝が来ている経験を皆さんもお持ちだろう。その意味で言うなら、眠りの空間は時空を超えた場所にある。
こうした場所のことを古代の日本人たちは黄泉(よみ)の国と呼んできた。人は眠りの中で黄泉の国を旅している。そう考えてみるのも面白いかもしれない。そして、眠りからこの世界に戻るとき、文字通り、人は黄泉返る(よみがえる)。

もちろん、一般的には、黄泉の国とは、古事記でもおなじみのように死者の世界のことを指すわけだが、人はそうやって、毎夜、毎夜、小さな死を繰り返し経験させられていると言ってもいいのではないだろうか。実際、古代の多くの神話が死と眠りの関係を兄弟のような関係で語っている。

例えば、ギリシア神話なら、眠りの神はヒプノスと呼ばれ、その兄タナトスは死の神である。「眠り」の兄の方にあたる 「死」は二度と目覚めない「眠り」のことでもあり、もし、そこから再び目覚めることがあるとするなら、それは宗教が「輪廻」と呼ぶものになる。こちらは正真正銘の黄泉がえり(甦り)だ。
私たちは、毎夜、眠りの中で黄泉の国に生き、そして、そこから生命の力を得て目覚め、眠りの力と共に黄泉返る。このイメージはなかなか面白い。

眠りは意識を宇宙の調和の中に戻している

このように考えると、私たちの意識というものは、科学が言うような単なる脳の電気信号の産物のようなものではなく、眠りを経験している間は、時空を超えた広大な霊的意識の海の中を泳いでいる存在と言っていいのかもしれない。ドイツの神秘思想家のシュタイナーはそのことをハッキリと明言している。

シュタイナーは、人が眠るときは人間の意識の本質である「アストラル体」が肉体から離れ、霊界に向かうという。シュタイナーのいう霊界とは宇宙の調和を作り出している無意識の中の奥の深い領域のことで、人間の意識は眠っている間に、その調和のエネルギーを肉体のもとに持ち帰ってくるというのだ。

アストラル体という言葉が分かりにくいかもしれないが、これは人間の感情を司っているエネルギーのようなものとしてイメージするといいだろう。シュタイナーは、人間が起きているときは、このアストラル体が物質世界からの影響によってかき乱されてしまい、そのことによる劣化が病気や疲労を引き起こすのだと言う。

確かに、私たちは日常生活の中で時間に追い回され、人付き合いの中では何かと反感や嫉妬などのネガティブな感情を経験し、それを我慢したり、反省したりしながら、あれこれと悩みながら生きている。これに準じて生じてくる意識の濁りのようなものが、シュタイナーのいうところのアストラル体の乱れと呼んでいるものだ。その乱れを、眠りは遥か宇宙の深部にまで意識を連れて行き、是正しているのだ。

ならば、眠りがどんな治療法よりも重要視されてはいけない理由はない。眠りこそが最大の癒しとも言える。

アストラル体が眠りの中で肉体を離れ、私たちの肉体を作り出しているその本質である霊的の世界の奥まで旅し、そこで宇宙の調和そのもののエネルギーをふんだんに吸い込み、この肉体の中へと舞い戻ってくるというのなら、私たちは眠りの空間こそが人間が真に生きている場だと考えないといけないのかもしれない。そのようなイメージの中では、私たちの人生の方があたかも宇宙が見ている一つの夢のようにも思えてくる。
シェークスピアも言うように――われわれは夢と同じように造りなされた存在で、われわれの小さな生は眠りのなかに包まれている――のだ。

2020年12月-ブロッサムNo.82

知られざる月の不思議な力

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半田 広宣

半田 広宣Kohsen Handa

福岡県生まれ。1983年心身を健康にする未来型健康商品の開発・販売を始める。株式会社ヌースコーポレーション代表取締役。現在、武蔵野学院大学スペシャルアカデミックフェロー(SAF)。

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