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半田広宣旧コラム 「ヌース的人生のススメ」

ウイルス化する社会(2)



新型インフルエンザが徐々に猛威を振るっている。厚生労働省のホームページによれば、8月に国内初の感染者の死者が出て以降、疾患のない若者や幼児の死亡例も発生してきており、11月4日の時点で、死亡者47名となっている。現在は弱毒性ということで重症化する危険度もそれほど高くはないと言われているが、まだまだ予断を許さない。

1918年ごろ世界的に大流行した「スペイン風邪」は、最初弱毒性とされ、日本でも「三日風邪(みっかかぜ)」と呼ばれ甘く考えられていたのだが、やがてこの「スペイン風邪」のインフルエンザ・ウイルスは進化を遂げ強毒性のウイルスに変化し、何と全世界で4000万人と云われる死者が出る大惨事となってしまった。日本の死者は約30万人だ。インフルエンザ・ウイルスの遺伝子は他の生物のそれと比べて極めて短く、短時間で進化する。どのような変化を遂げるのかを予測するのは、専門家にも正確なところはわからないという。

しかし、それにしてもこのウイルスってヤツは一体何者なのだろう?エイズウイルスをはじめ、肝炎ウイルス、さらには、ちょっと前に世間を騒がせたO-157もその裏ではバクテリオ・ファージというウイルスが関わっていた。 なぜ、ここにきてこんなにウイルスが暴れ出しているのか――気になって調べてみると、1980年以降、新種のウイルスの発見が激増してきており、その数はゆうに80種類を超えているという。

ウイルスにはDNAウイルスとRNAウイルスという二つの種類がある。新しく発見されているウイルスは、そのほとんどがRNAウイルスである。
深刻な感染症をもたらすのはこのRNAウイルスの中でもレトロ・ウイルスと呼ばれる連中で、インフルエンザ・ウイルスもこのレトロ・ウイルスの仲間だ。レトロ・ウイルスたちは、逆転写酵素と呼ばれるコピー能力を持つ酵素によって、自分のRNAを宿主のDNAに書き込んで同化し繁殖していく。つまり、この手のウイルスたちは自律した別の生体の中にそしらぬ顔で入り込み、やがてはその宿主の自律機能を奪い去って行く一種の寄生虫的代物なのである。1980年頃からの急激な増殖と聞いて、これって何かに似ているな、と思うのはわたしだけだろうか。

1980年代以降、世界はコンピュータの登場によって大きく変わった。インターネットや携帯端末の発達は、生活の利便性を比較にならないほどアップさせている。しかし、その反面、人と人とのつながりもデジタル化させ、とびとびの点のように切断されている。こうした環境では、人はもはやリアルな顔と声によって人とつながることはできなくなり、コンピュータが支配するメディアとつながることによってしかこころの安堵感を持つことができなくなる。

しかし皮肉なことに、メディアの方は必要以上に人々の不安をかき立てる役回りをし、新種のウイルス騒ぎにしても、その風評被害は広がるばかりだ。今や人間の意識自体が自律性を失い完全にコンピュータというウイルスに母屋を乗っ取られてしまっているというわけだ。 ひょっとしてウイルスというのはわたしたち人間の意識状態が作り出しているものなのかもしれない。

2009年12月-ヌース通信No.38

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