半田広宣旧コラム 「ヌース的人生のススメ」
午前10時、会社に行くため玄関のドアを開ける。暑い。靴箱の上の温度計を見る。気温はすでに32度を指している。この日の福岡は結局、37度まで上がった。観測史上二番目の記録。そんな日が何日も続くのだからたまらない。本当に異常な暑さだ。
わたしの場合、地球温暖化が騒がれてはいても、去年までは「博多は今や香港です。」なんて冗談を言う余裕があった。しかし、今年はちょっと違う。心の片隅に「これはほんと冗談では済まないのでは?」という不安が湧いている。人は不安になるとデータ検索に走るものだ。かくいうわたしも例外ではなく、インターネットで気象統計を調べることにした。
データによれば、わたしが住む福岡の平均気温は20世紀の過去100年間で2.3度上がったと示していた。たった2.3度か、と一時、胸を撫で下ろす。しかし、21世紀に入ってのこの8年間の上昇率はどうなのだろうか?体感では確実に、2~3度は上がっている感じだ。 10年もたたないうちに20世紀の100年分を上乗せしたというのだろうか。それでは22世紀には一体どうなんだ、と再び不安がチラつきはじめ、再度検索するが、そのデータは見当たらなかった。
そう言えば、数年前に元アメリカ副大統領のアル・ゴアの講演活動をドキュメンタリー化した『不都合な真実』という映画があった。地球温暖化の危機をテーマにしてかなり話題になった映画だ。その中で印象的なアニメのシーンがあった。
カエルをいきなり沸騰したお湯の中に入れると、びっくりしてすぐに飛び出す。しかし、最初は水の中に入れておいて、下から徐々に熱した場合、鈍感にもカエルは水温の上昇に気づかない。熱い!!と思ったときには時すでに遅く、最後はかわいそうに、ゆでガエルなってしまう、という結末だ。
この喩えは今のわたしたちの現状を的確に表している。年々、地球の気温は上がり続けている。北極やグリーンランドでは予想以上のスピードで氷が溶けており、このままで行けば遅くとも50年後には地球上のほとんどの大都市は温暖化による海面上昇のため水没するという。
50年後の話なんて確かに今のわたしたちにはリアルではない。 しかし、この夏の暑さや、雨の降り方、それに雷の多さはやっぱり尋常じゃない。おまけに、日本で史上初の竜巻警報なんてものまでが出る始末。地球の何かが狂ってきているのだ。漠然としてはいるが、その感覚だけは日に日にリアルになっていっているのである。
それでもわたしたちは昼間の異常な暑さに耐え切れず部屋の中のクーラーはフル回転。夏休みと言えば、相も変わらずレジャーに、娯楽に、高いガソリンを使って二酸化炭素を排出してしまう。
「井の中の蛙、大海を知らず」ならぬ「湯の中の蛙、限界を知らず」。 気がついたときには、世界は「沸騰」してしまっているかもしれない。
2008年9月-ヌース通信No.33
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福岡県生まれ。1983年心身を健康にする未来型健康商品の開発・販売を始める。株式会社ヌースコーポレーション代表取締役。現在、武蔵野学院大学スペシャルアカデミックフェロー(SAF)。