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半田広宣旧コラム 「ヌース的人生のススメ」

チャリティーオリンピック



5月12日に中国四川省で大地震が発生した。6月1日現在で死者約7万人、行方不明者約2万人。倒壊家屋、破損家屋はそれぞれ約500万戸、2000万戸と発表されている。被害があまりに大きすぎるので、すぐにはピンとこないが、これは死者の数だけで見れば阪神淡路大震災の10倍以上の規模だ。復旧には気が遠くなるほどの時間と費用を要することだろう。

例の冷凍ギョーザ事件に始まって、チベット問題にからむ聖火リレー阻止騒ぎなど、国際ニュースが中国関連のニュースで賑わっている最中、さらに追い打ちをかけて起こったこの大地震。こんな状況下においても、中国政府は予定通り8月に北京オリンピックを開催しようとしている。
これは日本で言えば、阪神淡路大震災やオウム事件が起こったあの1995年に東京でオリンピックを行なうようなものだ。当時の状況を思い出してみれば分ると思うが、おそらくオリンピックどころではなかったはずだ。

北京オリンピックは中国の国家の威信を賭けた一大イベントであり、21世紀の経済大国・中国の繁栄ぶりを世界にアピールする絶好の機会でもある。北京は被災地から遠く離れており、地震の心配もなく、五輪開催のスケジュールには全く問題がないと言う。しかし、数千万という震災被害者が住む家もなく路頭に迷っている傍らで、北京の方はお祭り騒ぎという構図はあまりに酷だ。オリンピックが平和の祭典であるのならば、IOC(国際オリンピック委員会)は中止なり延期を、急遽検討すべきだ。
いや、もっと賢明な方法もある。北京オリンピックで上がる収益の大半を被災者たちへの義援金に当て、開催目的を四川大地震震災チャリティーに変えるのだ。

「IOCと中国政府、北京オリンピックに協賛する全スポンサー企業は、今回のオリンピックを中国被災者支援の一大チャリティー・イベントとすることを昨日、正式に決定しました。」

こんなニュースが飛び込んできたら、どれだけ世界が明るくなることか。どれだけ未来の地球に希望が持てることか。それこそ、世界全体が「聖なる火」の灯火に光り照らされることだろう。参加する選手たちも、中国の国民も、支援する大企業も、そして観客たちも、文字通りオリンピックを国家やイデオロギーの枠を超えた平和の祭典として満喫できることだろう。

しかし、やはり現実はそんなに甘くはない。IOCが今回の震災に送った義援金は1億円。放送権料だけでもゆうに2000億円は見込める組織としては、あまりにお粗末に感じるのは私だけだろうか。世界にはまだ多くの恵まれない人たちがいる。この際、IOCは国連の組織下に入り、オリンピックで上がる収益は必要経費を除いてすべて国際チャリティー基金に回す、というのはどうだろう。いっそのことIOC自体が慈善団体に衣替えするという手もあるのだが・・・

2008年6月-ヌース通信No.32

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