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半田広宣旧コラム 「ヌース的人生のススメ」

介護の波



この数ケ月、立て続けにいろいろなことが起こった。まずは、両親の引っ越し。今年87歳と84歳になる父と母が住んでいる家が老朽化でもう持たないということになった。去年、博多を襲った地震で基礎部分が壊れ、家全体が歪み出したのだ。同じような地震がまたくれば完全にアウトである。
専門の診断士に見てもらったところ、地震どころか大雨でも危ないという。と言って、家を建て替えるお金などどこにもない。姉弟で集まって会議を開き、引っ越しを決行させるしかないという結論になった。長年住み慣れた家を老齢の身で引っ越すのには、さぞ寂しいものがあったであろう。父と母はやはり最後まで残りたいようであったが、このまま危険な家屋に住ませておくわけにもいかない。家賃はわたしたち姉弟持ちということで、近くのマンションに転居させた。

転居してひと月足らずで、今度は母が胆石で入院。緊急手術が必要ということで、7月半ばから今もなお入院中である。手術も無事おわり、命に別状はなかったが、何しろ高齢の身。9月一杯は退院できないようだ。その間、問題となったのは父だった。
姉たちのおかげもあって、わたし自身はさほど苦労をさせられているわけでもないが、それでも記憶力の弱ってきた父と一日中一緒にいるのはなかなか大変だ。父はわがままを言う訳でもなく、穏やかに一日中テレビを見ているだけなのだが、耳が遠いせいもあってTVの音量がいつもフルボリュームなのである。これでは本も読めないし考え事もできない。轟音のせいで頭が痛くはなってくるが、せっかくの父の楽しみを奪うわけにもいかないのだ。じっと我慢して、父が眠くなるのを待ち、清潔な寝巻きに着替えさせ、寝室へ連れて行く。

今の日本では、こういう生活を連日連夜、続けている人たちが多数いるのだろう。わたしの場合は兄弟も多いし、多少の経済的余裕もある。だから、この程度の労力で済んでいるが、そうじゃない人たちは一体どうしてるのだろうか?
改めて介護問題の深刻さを感じている今日この頃である。

2006年9月-ヌース通信No.24

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