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半田広宣旧コラム 「ヌース的人生のススメ」

日本プロ野球の未来



近鉄とオリックスの合併問題に端を発したプロ野球界の再編問題で、今世間の一部が騒がしい。 寄らば大樹の陰とでもいうのか、どうやら協議は巨人を中心に1リーグ制移行の方向へと進んでいるようだ。

わたしの場合、10年前に野茂選手が単身大リーグに渡ってからというもの、日本のプロ野球にはすぐに興味を失った。スピード・パワー・テクニックどれをとっても大リーグが上だったからだ。大リーグの試合が毎日のように日本で放映されるようになれば、日本のプロ野球は危うくなる。当時そう直感したものだが、その杞憂が10年経った今日、現実のものとなった。
わたしのような大リーグ転向者が偉そうなことを言えた義理ではないが、現在日本のプロ野球が直面している危機は2リーグ制か1リーグ制か、などといった制度改革によって回避できる類のものではないように思える。

時代はすでに21世紀である。
時と共に娯楽の選択肢も増え、その質も大きく変化し、人々の嗜好性は多様化している。プロ野球自体が時代に合ったエンターテイメント性を意識しない限り、なかなか復活は難しいのでは?とも思ってしまう。
野茂選手が大リーグに移籍しようとした時に、「育ててやった恩を忘れたのか」などと非難し、渡米を妨害しようとした球団が近鉄だった。こうした新旧世代間の価値観の衝突はプロ野球界に限ったことではない。

今の時代、自分を押し殺してまで組織に献身し、忠誠を誓うなどといった若者たちは激減している。かと言って、それは彼らが個人主義や拝金主義に走り出したからというわけではなかろう。私的な幸福や金銭的な価値などを反古にしてもいいような夢や価値を追求できる場所が今の日本社会には少なすぎるのだ。

曰く、人はパンのみにて生きるにあらず。では、人はいかなる糧の獲得を目的として生きるのか――。

それは、大リーグに渡った野茂やイチローや松井たちが見事に教えてくれている。すでに成功者であったにもかかわらず、より大きな夢に向かってリスクを持って挑んでいくその精神性、その高貴な魂の姿にわたしたちはストレートに深い感銘を受ける。
現在すったもんだとやっている日本のプロ野球界関係者も、彼らのチャレンジ精神を少しは見習ってはどうか。ビジネスである限り、利害の一致や儲けを考えるのは理解できるが、ビジネスにおいても一番重要なことは営利を超えたところにあるモチベーションやビジョンだ。当事者たちが日本プロ野球界の未来に熱い情熱を持って臨まない限り、かつてのような活況はやってこないだろう。
ついでに言うと、先日自民党と民主党を中心とする国会議員の有志たちが1リーグ制に反対する議員連盟なるものを立ち上げた。どう考えてもこれは余計だ。1リーグ制に移行すべきはプロ野球よりも国会かもしれない。

2004年9月-ヌース通信No.16

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