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半田広宣旧コラム 「ヌース的人生のススメ」

花とミツバチ



今年は暑い。去年以上に暑い。5月だというのに30度を超えた。地球温暖化が叫ばれるようになって久しいが、その実感が徐々に強度を増してきている。このままでは日本は熱帯地方になってしまう。地球温暖化は二酸化炭素による温室効果が原因だと一般には言われているが、つまるところ、これは物質文明が消費するエネルギーの排泄物だ。

車の排気ガスのみならず、発電所、工場、オフィスなど、それこそ都市生活が営まれているありとあらゆる場所から二酸化炭素は発生している。二酸化炭素を酸素へと還元する植物たちがこれまた大規模な森林の伐採により姿を消しつつあるから、結果として二酸化炭素はどんどん増える一方だ。地球温暖化は地球上の生物分布にも大きな変化を与え、未曾有の大災害を引き起こすおそれさえ出て来ている。

生態系と言えば、最近ちょっと気がかりな記事を雑誌で読んだ。アメリカの西海岸や東海岸で去年の秋頃からミツバチが姿を消し始めたというのだ。専門家はこの現象を「群生崩壊症候(Colony Collapse Disorder)」略して「CCD現象」と名付けているらしいが、冗談ではない。恐ろしい命名ではないか。今のところまったく原因が分からず、ミツバチに授粉を頼るアーモンドやリンゴなど、農作物の収穫にも影響が出始めるのではないかと心配されている。

こうした現象は過去にも地域限定的には起こっていたらしいが、今回は前例のない大規模なものらしく、すでに西海岸では60%、東海岸では70%のミチバチが消滅してしまっているという。たかがミツバチとタカを括ってはいけない。言うまでもなく生物の世界は循環が命だ。循環の環の連鎖がどこか1ヶ所で断ち切られれば、それは全体のシステムに深刻な影響を与える。

事実、ミツバチたちは多くの樹木や作物の受粉の役割を担っている。いうなれば、彼らは植物界での愛のキューピット役なのである。そのミツバチたちの力を借りて子孫を増やしていた多くの植物もまた死滅することになる。ミツバチの消滅は農作物の高騰どころか、生態系全体の存続に関わっていると言っても、過言ではない。

面白いことに、このミツバチのCCD現象の原因が携帯電話の普及によるものだという説を唱えている科学者たちがいる。携帯電話から発せられる電磁場がミツバチたちの感覚器官を狂わせて帰巣能力などを奪っているというのだ。もし、これが本当なら皮肉な話と言わざるを得ない。

花から花へと植物たちの思いを伝導するミツバチが、人から人へと情報を伝導する携帯の電波に駆逐されている――象徴的に言えば、携帯電話は愛を運搬するどころか、愛を阻害する、ということだ。
これはあくまでも個人的見解だが、これ以上私たちの生活が便利になる必要もないし、経済発展も必要でない。重要なのは利便性ではなく、思いの伝達だ。人間の心の中に住む花とミツバチを返して欲しい。

2007年6月-ヌース通信No.28

キズの上のタマ

こんにちは赤ちゃん

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