こころの相談室 酒井先生からのアドバイス
相変わらず小学校、中学校の不登校問題が後をたちません。子供が学校に行かなくなったとき、親はどういった態度で臨めばよいのかアドバイスをお願いします。
まず最初に、不登校という問題に対して親御さんたちがしっかりと学校(学級)の現状を把握しておく必要があります。というのも、最近の不登校というのは昔と随分と変わってきてるんですね。
今は、いわゆる学級崩壊が進行しつつあるので、正常な子供が不登校になっていくパターンが増えて来てるんです。十年前であれば、全く問題なくやっていけるような子供たちでも、今は学校に行けなくなってきている。
つまり、精神的に弱いから不登校になる云々というのはすでに迷信のようなもので、あまり的を射ていないということなんです。
子供たち自身が、子供心に学級崩壊の雰囲気に耐えられなくなってるわけですね。
そうですね。それで不登校が始まってしまうというのが最近の特徴になってきてるのは確かです。クラスに粗雑な子がたくさんいたり、歩き回る子がいても、それを先生が注意しない。そういうことが嫌になって耐えられなくなって、学校に行かなくなる子供たちも結構いるんです。
その意味で、不登校の原因を以前のように「いじめ」などのパターンでは括れなくなっています。
ですから、子供が学校に行きたくないと言ったときに、決して一方的に責めるようなことはせず、様々な理由からそうなっているんだというように、まずは子供が置かれている学校側の環境の悪化を考えてあげることがとても大切ですね。
学級崩壊という問題を改革するとなると、かなり大きな問題です。とりあえずは、今ある現実の中で親御さんたちも対処していかなくてはならないわけですが、実際に子供が不登校に陥ったときの親御さんたちの対応の仕方はどうすればいいのでしょうか。
お父さんかお母さん、どちらか話を聞きやすい方が、まず子供と親密に話し合うことが必要です。
「どうしたの?いつごろからそんなふうに感じるようになったの?学校のどこが負担になってるの?」というように、何が原因であるかできるだけ具体的に把握するよう努めて下さい。原因が一つだけじゃないことも随分あります。いろんな小さいことの積み重ねの場合、転校したら直ってしまう子供もいます。
しかし、本当に精神的にまいっている子供もいます。そういう子はたとえ転校しても難しいので、本格的に対処する必要がありますが、いずれにしろ、不登校にも軽いものと重いものという二つのパターンがあることを親御さんが知ることが大事です。
不登校になるのを前もって防ぐために注意しておくべきことは何かありますか?
小学生の場合は、まだ自我がはっきりしていないので、無意識のうちに身体が先に反応を出すということもあります。
ですから、「おなか痛いよ」とか「頭痛いよ」と言うのは、ある意味とても重要な警告サインでもあるんですね。
そういった症状が出て、お医者さんに連れて行っても原因が分からないときは、特に子供のストレス表現として注意しておく必要があると思います。そのようなときは、学校で何か嫌なことはなかったかどうか尋ねるようにしたらいいでしょう。それだけでも大分違います。
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1951年東京都生まれ。東京大学文学部卒業、筑波大学 医学研究科博士過程修了。現在「ストレスケア日比谷クリニック」院長。オリコン・エンタテイメントより発売の書籍「患者が決めた!いい病院 2007年度版」内にてストレスケア日比谷クリニックが第3位に選出。