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こころの相談室 酒井先生からのアドバイス

うつの状態について



うつの状態について

うつとはこころが風邪をひいている状態だと思っていいでしょう

一般の多くの人がうつや落ち込みに悩む時代になり、そうでない人の方がはるかに少なくなっています。うつになりにくい状態を作るためにはどのようなことを心掛ければよいか、何かいいアドバイスはありますか?

まずうつとはどのような状態を指すのか、それを十分に知っておくことが必要だと思います。うつの人は基本的に次の3つの条件を満たしています。

  • 喜びの喪失(嬉しいという感情が日常から失われる)
  • 意欲が低下する(やる気が起きない)
  • 思考力の低下(判断力が鈍る。決断できない)

この3つにすぐに思い当たるようであれば、それはすでにうつ予備軍で「心が風邪」を引いている状態だと思っていいでしょう。私のクリニックには小中学生から60~70代の方まで様々な患者さんがいらっしゃいます。
実際にはこの「心の風邪」の前段階の「ちょっと最近調子が出ない」というレベルで受診していただくことが、症状の出現と悪化を防ぎ、その後の生活をより快適に過ごすカギとなります。

なぜ、うつの人が「風邪」の段階を過ぎて、それこそ「肺炎」になってからでないと精神科の門をたたかないのでしょうか。

自覚症状があってもそれがうつと結びつかないんですね。ここで注意していただきたいのは、「うつ」というのは、まったくうつでない人から重症の方まで無段階に連なっていて、明確な垣根はないということです。精神科医である私でさえ、何となく気分がさえないということはしょっちゅうあります。皆さんの中ではほとんどの方にも同様のことが言えるのではないでしょうか。
だからこそ、どこまでが軽いうつなのか、重症なのかを、自己診断だけに頼るのではなく、専門医を気軽に訪ねて確かめていただきたいのです。

昔のうつと現在とでは異なる点があります。昔は、社会的あるいは経済的な不安をあまり抱えていなかった人が多かったものです。ところが、現在では、そうした不安要因を抱えている人がかかる率が増えています。ということは、非常に厳しい話ですが、個々の努力だけではうつの人の数を減らせない。社会全体がよくならなければ、極端な状況の改善は望めないということです。女性のうつも急増しています。

近年の不景気からくるリストラなどによって、中年男性のうつが増えていることは、自殺者の統計などからよく知られていることですが、こと女性に関してはどうなのでしょうか。

やはり急増しています。例えば、子育て中のお母さん方。少子化で昔4~5人の子供を育てていた時代より労力的にははるかに楽になっているはずですが、むしろ精神的には苦痛を伴う人たちが増えています。

わたしのクリニックにも子供を幼稚園に送っていくときは平気だけども、迎えに行くことができないという方がいました。待っているときに他のお母さん方と雑談をしなくてはならないのが耐えられないのだそうです。この方は重症のうつとまではいかなかったのですが、そのような方がPTAの役員などを引き受けてしまったら、どうなるか分かりません。

誤解を恐れずにあえて言いますと、うつになることを防止する一つの方法は、やらなくてもいい嫌なことはやらない、引き受けないということに尽きます。

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酒井 和夫氏

酒井 和夫氏Kazuo Sakai

1951年東京都生まれ。東京大学文学部卒業、筑波大学 医学研究科博士過程修了。現在「ストレスケア日比谷クリニック」院長。オリコン・エンタテイメントより発売の書籍「患者が決めた!いい病院 2007年度版」内にてストレスケア日比谷クリニックが第3位に選出。

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