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こころの相談室 酒井先生からのアドバイス

引きこもりの対処法



引きこもりの対処法

引きこもりの件数は増加の一途をたどっています

2003年頃にピークだった不登校児童の数は年々減少傾向にあるようですが、それに変わって最近、引きこもりという社会現象が問題化してきています。
これは不登校世代がそのまま成長して引きこもりにカウントされるようになったこともあるのでしょうが、最近では「ニート」という言葉なども登場してきて、それが別段異常ではないとする風潮もでてきているようです。
先生からご覧になって、こうした問題を少しでも解決するための何かアドバイスをお聞かせ願えますか。

引きこもりについての相談は一週間に何人かありますね。クリニックを訪れる患者さんの今までの統計から見ると、引きこもりは不思議なことに都市圏よりも自然が多い郊外や地方の方が多いんです。もっとも、都市部の親御さんたちがそれだけ無関心ということもあるのかもしれませんが…。
ただ、引きこもりというのは、日本特有のものですね。おっしゃるように日本の社会風土自体が「ニート」という言葉を作って、一つのライフスタイルであるかのような錯覚を与えています。

「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という調子で、そのような人たちが社会自体で増えているので、自分がそうでもあまり抵抗がないわけですね。欧米人にとっては家の中にいるというのは最大のストレスなんですよね。自宅謹慎なんかは厳しい懲罰になっているくらいですから。 しかし、日本だと両親や家族が本人を守って家にいやすい環境を与えてしまっているわけです。個人的には理解に苦しみます。

家族ぐるみの協力体制が不可欠です

ということは、これは本人の問題というよりも家族関係の問題と言った方がよいわけですか?

経験から言って、引きこもりの子供がいる家庭は、お父さんとお母さん、大抵どちらかが子育てを諦めてしまっていますね。特に父親が全く子供に対して働きかけをしないというパターンが多いようです。子供のことについて夫婦間で全く会話がないという家庭も結構見られます。
親子という家族構造はかなり複雑な構造なわけで、しかも兄弟がいたとしたら含めて三角関係どころか四角関係にまで発展してしまいますから、こういう場合は、子供に問題があるという以前に、ご両親の間に問題があることがほとんどです。

この部分は社会的には表面化してきませんが、子供の代になって現れてしまうわけです。夫婦間のコミュニケーション不足は家庭環境を悪化させている最も大きな要因と言えます。そういう意味でも、子供の中に引きこもりが出た場合は、夫婦の協力はもちろんのこと、家族ぐるみの協力体制というのが不可欠です。

普段とは逆のことをやってみる

実際に引きこもりの子供をかかえる親御さんたちに何か具体的なアドバイスはないでしょうか?

叱っていたところは放っておいて、放って置いたところは叱る。例えば、学校に行かない子供に学校に行きなさいとはうるさく言わないのに、体が心配でご飯だけはきちんと食べなさいと叱っていたとしたら、その逆をやればいいわけです。

自分が自分ベッタリで励ましたり、注意したりしてるのをちょっと違う角度でやると子供の反応が変わりますから、結構客観化できるようになって、どこをどう押したり引いたりすれば動くのか少し分かるようになってくるんですよ。
もちろん、これだけで解決に向かうというのはそんなに多くはないですが、試行錯誤しながら周囲が努力するというのが大事なことです。本人もそれをよく見てますから、常に子供のことを考えているという姿勢は保っておくべきだと思います。それがないと、意思の疎通はますます難しくなっていくことになります。

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酒井 和夫氏

酒井 和夫氏Kazuo Sakai

1951年東京都生まれ。東京大学文学部卒業、筑波大学 医学研究科博士過程修了。現在「ストレスケア日比谷クリニック」院長。オリコン・エンタテイメントより発売の書籍「患者が決めた!いい病院 2007年度版」内にてストレスケア日比谷クリニックが第3位に選出。

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