こころの相談室 酒井先生からのアドバイス
生きるのに大変なこの時代に、現代人が失いやすいのが意思の力。今回は、誰にでもできる意思の力を強くする効果的な方法をお伝えしたいと思います。
はじめに「意思が強い」とは何を意味するか。それはシンプルに、集中力が高まる、思い切ったことができるなど、心のポジティブな側面を強化させることだと理解してください。そして意思というものは、実は「時間」に関係しています。
目標を達成する意思は、「時間」をどのように把握し、どう上手く利用して物事を達成できるかに繋がっています。この方法は哲学者の
ルドルフ・シュタイナー
ルドルフ・シュタイナー
1861~1925 哲学者、教育者。
意志力や行動力、芸術的な「心の目」を重視する理念を持ち、
その教育法は日本の教育機関で採用されています。
が提案した本当に誰にでもできる方法です。
① 1日1回、時刻を決める。
使う時計は、アナログでもデジタルでも構いません。「午後1時1分1秒」というように比較的覚えやすい時間設定がおすすめです。
② その時間に行う動作を決める。
普段めったにしない、客観的にみると奇妙な動作がおすすめです。
例えば、小指と小指を合わせる、親指を3回折り曲げるなど。
③ 誰にも言わず実行する。
これを試みることは、周りには秘密にして実行してみてください。
「なんだ、そんな簡単なことじゃないか」と思う人もいるかもしれません。ですが、私たちの時間の感覚というのはかなりルーズなもので、これが意外に難しいのです。
もしも1週間、定刻に奇妙な動作を誰にも言わずやり続けることができたなら、その人の心の力、意思の力、集中力がだいたい2~3倍にはなるのではないでしょうか。
少なくとも1週間、できれば2週間続けて行いましょう。そうすることで、自分が変われた、以前の自分とは違う人間になれたというポジティブな感情が湧き出てきます。
この方法はユニークでとても簡単なのに、こんなことで人間の心というのは強くなるのかと皆さんびっくりされます。自らのポジティブな側面を実感でき、それが意思の力を強くすることを実現する大変おすすめの方法です。
掲載内容を寄稿していただいた酒井先生が、精神科医として長年の臨床経験から"心がより元気になる"アドバイス「Dr.酒井の冗談じゃない!」をYouTubeで配信中です。
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1951年東京都生まれ。東京大学文学部卒業、筑波大学 医学研究科博士過程修了。現在「ストレスケア日比谷クリニック」院長。オリコン・エンタテイメントより発売の書籍「患者が決めた!いい病院 2007年度版」内にてストレスケア日比谷クリニックが第3位に選出。