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ほしのかたちみ~イデアサイコロジーの世界~

性格を作る4つのフィルターとは?



乳幼児期

前回、「イデアサイコロジーとは仕事や恋愛、結婚、子育てなどの現実生活で幸せをつかむための実践的知識です」というお話をさせていただきました。そのためには「自分の無意識的な感情や思考、行動のパターンを把握して、うまくコントロールしていくこと」が必要になってきます。

この「感情や思考、行動のパターン」のことを心理学では「性格」と呼ぶのですが、イデアサイコロジーでは「性格は4つのフィルターで作られている」と考えます。フィルターとは、外部の情報や体の感覚などを判断するときに無意識に使っている基準のようなもので、それを通すことによって個人によって独自の感情・思考・行動のパターンが表れるのです。

そして、自分の感情・思考・行動のパターンを知るためには、まず、このフィルターがどのように作られるのかを知ることがとても重要になってきます。ですので、今回はこのフィルターの作られ方についてお話していきたいと思います。

フィルターとは 、① 遺伝的影響から作られるもの、② 乳幼児期の親子関係において無意識的に作られるもの、③ 記憶にある乳幼児期・児童期の経験によって作られるもの、④ 中学生以降の経験によって作られるもの、この4つから構成されています。

1つ目の「遺伝的影響のフィルター」は、両親から引き継がれた、身体を構成する遺伝子の特性から生じるものです。例えば、外向的or内向的、神経質かどうか、論理的思考力、IQ、運動能力、芸術的才能などが影響を受けます。

次に、2つ目の「乳幼児期の親子関係で無意識に作られるフィルター」ですが、これについてお話するために、まず簡単に精神分析の創始者、フロイトの理論についてお話させていただきます。

フロイトは、0~6歳を3つの段階― ① 0~1歳半:口唇期 ② 1歳半~3歳:肛門期 ③4~6歳:男根期 ―に分けて考えます。
子どもはこの3つ段階で様々な欲求不満や満足、不安などを感じ成長しますが、フロイトは「どの段階のどの経験から強く影響を受けたかによって性格が決まる」としています。例えば、口唇期で大きな満足を経験した人は、楽観的・依存的、欲求不満を経験した場合は抑うつ的、退却的、受身的などの特徴を持つようになるということです。

このように、0~6歳の間の親子関係や家庭環境で、世界や自己・他者の判断の基準となる認知様式が無意識的に作られ、それが性格に影響するとイデアサイコロジーでは考えています。

自我の基盤が作られる乳幼児期は特に重要です

その次の段階の6~12歳は「潜在期」と呼ばれ、乳幼児期に作られた影響や衝動、欲求などが影を潜めて表に出てきづらくなります。その代り、社会的規範やコミュニケーションの仕方などを学ぶ時期となるんですね。この時期の家庭環境、学校環境(友人関係・成績)などにおける経験と、乳幼児期の家庭や保育園・幼稚園での経験(記憶に残っているもの)から作られるのが、3つ目の「乳幼児期・児童期の経験のフィルター」です。その後の13歳以降は「性器期」と呼ばれ、再び、衝動や欲求などが活性化されます。

この時期に重要な課題となるのが「自我同一性」の確立です。自我同一性とは、過去・現在・未来において一貫した「これこそが自分だ」という感覚のことです。心理学者のマーシャは、自我同一性を確立するには「危機(それまで信じていた親の価値観などにこれでいいのかと迷いを感じ、自分で考え始めること)」と「傾倒(ある事柄に積極的に関わり興味関心を持つこと)」の2つの条件が必要で、その過程で4つの成長段階(①自我同一性達成 ②モラトリアム ③早期完了 ④自我同一性拡散)があるとしています。

イデアサイコロジーでは、自我同一性のために必要な傾倒を生み出すのが、2つ目の「乳幼児期に作られる認知様式のフィルター」だと考えています。この「乳幼児期に作られる認知様式のフィルター」から生じる欲求・不安や長所・短所などを自覚して適切に使うことで自我同一性が達成され、仕事や恋愛、子育て、人間関係などの現実生活全般がうまく行くようになるんですね。

ですので、イデアサイコロジーでは2つ目の「乳幼児期に作られる認知様式のフィルター」の特徴を知ることが非常に重要であると考えています。
「じゃあ、どうしたらその特徴を知ることができるの?」と思いますよね。皆さんは「エニアグラム」という言葉をご存知でしょうか? エニアグラムとは、1950年代に思想家オスカー・イチャーソによって提唱された「9つのタイプによる性格分析法」なのですが、イデアサイコロジーでは、このエニアグラムこそが「乳幼児期に作られる認知様式のフィルター」そのものであると考えています。次回はそのエニアグラムについて解説いたします。

性格を作る4つのフィルターを成長段階に沿ってまとめると ―

  • ① 遺伝的影響

    両親から引き継がれた身体を構成する遺伝子の特性から生じる

  • ② 乳幼児期の無意識的な経験

    自・他の判断の基準となる認知様式が無意識的に形成

  • ③ 乳幼児期・児童期の経験

    社会的規範やコミュニケーションの仕方等を学校や社会から学ぶ

  • ④ 中学生以降の経験

    自己同一性を確立するために活発に行動する

「エニアグラム」ってなに?

イデアサイコロジーってなに?

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春井星乃

春井星乃Harui Hoshino

お茶の水女子大学大学院博士前期課程修了。臨床心理士として精神科クリニックに勤務し、東京都スクールカウンセラーも経験。心理学・精神分析・エニアグラム(9つのタイプによる性格分析法)を通して、人間の性格構造を明らかにする「イデアサイコロジー」を提唱。著書に『「目覚め」への道の歩き方』。

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