ほしのかたちみ~イデアサイコロジーの世界~
コロナ禍が始まって1年以上が経ちましたが、まだまだ収束が見えてきませんね。そんな中、外出自粛の長期化によって「自粛疲れ」という言葉も聞こえてきます。旅行やイベント、飲み会・食事会などができないストレスはとても辛いものです。
ただ、このストレスは性格によって感じやすさが大きく異なります。これ以上家でじっとしているのは耐えられない、人と会わないとストレスがたまってしまうという方もいますし、逆に旧来の煩わしいコミュニケーションがなくなって「解放された」と感じる方もいますよね。
二十世紀の心理学者C・G・ユングの性格類型論では、前者は「外向型」、後者は「内向型」に当てはまります。外向型はエネルギーが自分の外側に向かい、外界の情報(社会・常識・他人など)を自分の基準として生きるタイプなので、外出や人付き合いができないとエネルギーの行き場がなくなってしまうんですね。
逆に、内向型はエネルギーが内側に向かい、自分の感覚・感情・思考を基準に生きるタイプです。このタイプの人は、外出自粛があまり負担になりませんが、社交性・協調性に欠けたりします。また、外向型の人は普段自分の内面と向き合うことをあまりしない傾向があります。ですので、外出自粛は辛いですが、外向型の人にとっては逆に自分と向き合うチャンスでもあるのです。
外向型、内向型に関わらず、人間というのは無意識に自分を基準にして他人を見てしまう性質を持っています。つまり、自分を理解している程度にしか他人を理解できないんです。また、自分の欲求・不安や感情のパターンを知ることができれば、それをコントロールできるようになるため、仕事・恋愛・夫婦関係・子育てなどでも失敗することが少なくなります。
ですから、「自分を知る」ということは人生を生きやすくするための万能薬とも言えるものなんですね。内向型の人は「自粛」のような物理的孤独には強いけれども、特定の人に理解されない・受け入れられないという精神的孤独には、外向型よりも敏感で傷つきやすい面があります。ですから、同様に「自分を知って」人間関係を良好に保つことは、内向型にとっても非常に重要なことになります。
外向型の人も内向型の人も、この「自粛期間」を機会に自分と向き合い、自分の欲求・不安、感情のパターンを探ることで、家族などの身近な人間関係の絆をさらに深めてみてはいかがでしょうか。
つらい時ほど自分を知ろう!内向・外向診断チェックリスト
□ 落ち込んだ時は外部をシャットアウト
□ 外で友人たちと活動的に楽しむよりも家で読書や映画・音楽鑑賞をする方が好き
□ 話すよりも文章の方が思っていることを伝えやすい
□ ちょっとした表情から他人が心の奥で何を感じているのかを察することが得意
□ 自分が話すよりも、他人の話を聞く方が楽
□ 大人数の輪の中よりも一対一の方が話しやすい
□ 常識や周囲からどう見られるかということはあまり気にならない
□ 普段は無口な方だが、好きなことや興味のある話題なら饒舌になる
□ 人前でプレゼンやスピーチをするのは苦手
□ 社会的な規範や常識によって縛られることに非常に嫌悪感を持つ
※8~10個 → 内向型 5~7個→ 内向型寄り 3~4個 → 外向型寄り 0~2個 → 外向型
自分と向き合う必要性
わからないままにしておく勇気を
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お茶の水女子大学大学院博士前期課程修了。臨床心理士として精神科クリニックに勤務し、東京都スクールカウンセラーも経験。心理学・精神分析・エニアグラム(9つのタイプによる性格分析法)を通して、人間の性格構造を明らかにする「イデアサイコロジー」を提唱。著書に『「目覚め」への道の歩き方』。