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ほしのかたちみ~イデアサイコロジーの世界~

発達障がいの理解とサポートのために



医師への相談

みなさんは「発達障がい」という言葉をご存知でしょうか。最近、ネット上やテレビ、書籍などでも目にすることが増えていますよね。
発達障がいとは、大きく「自閉症スペクトラム障がい(ASD)」、「注意欠陥多動性障がい(ADHD)」、「学習障がい(LD)」の3つに分かれます。

「自閉症スペクトラム障がいのスペクトラムってなに?」と思う方もいらっしゃいますよね。自閉症と一括りに言っても、個人によって知能や言葉の発達の程度やコミュニケーションの仕方などに幅があるので、その濃淡のある状態を表すため「連続体」という意味のスペクトラムという言葉を使っています。
「アスペルガー症候群」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、このアスペルガー症候群は「自閉症スペクトラム障がい」の中でも言葉や知能に遅れが見られないケースのことを指しています。

「自閉症スペクトラム障がい(以下ASD)」は、「他人の立場に立つことが苦手」「視線が合いにくい」「他人の表情が読み取れない」「強いこだわり」「自分のルールや予定が狂うことを嫌う」「正義感が強い」などの傾向から、主に人間関係で問題が生じやすくなります。

「注意欠陥多動性障がい(以下ADHD)」は、「注意を持続させることが苦手」「順序立てて行動することができない」「落ち着きがない」「忘れ物が多い」「衝動的」という傾向から、日常生活で問題が生じることが多くなります。

端的に言うと、ASDは客観性や言語、法則など左脳的な特性が働きやすく、ADHDは主観性、感情、感覚など右脳的な特性が働きやすいという傾向があると捉えると分かりやすいかもしれません。
また「学習障がい」は、全般的に知能の遅れは見られませんが、読み・書き・計算などの学習に必要な基礎的な能力のうち、1つもしくは複数ができないことによって学習上に困難が生じやすくなります。

文科省の調査では、2002年には6.3%、2012年には6.5%、2022年には8.8%の児童に発達障がいがあり、徐々に増加していることが分かります。35人クラスであれば3人の子どもが発達障がいを持っているということになりますね。

まずは特性を正しく把握しよう

発達障がいが増えている理由には諸説ありますが、1つの原因としてよく言われているのが2005年の発達障がい者支援法の施行です。これをきっかけに「やる気が足りない」「親のしつけが悪い」と思われていた子どもたちに対して、「もしかしたら発達障がい?」 という目が向けられるようになりました。
その判断が正しい場合には正しい対応に結びつくのでとても望ましいことではあるのですが、実際は発達障がいの診断は専門の医師でも難しい部分があるんですね。

その大きな理由として、診断方法が血液検査などのように「この数値を超えたら〇〇」とはっきり決まるわけではなく、知能テストの結果や「この○個の項目のうち○個に当てはまる」という医師の主観的な判断によるという事、そして、家庭環境や親子関係、トラウマなどの影響でも発達障がいと似たような状態になるケースが挙げられる場合があります。

ですので、「もしかしたらうちの子は発達障がいかも?」という思いを持った時は、とにかく慎重に、正しく診断できる医師や施設を探すことが重要だと考えています。できれば、発達障がい専門の医師が望ましいですね。それは、発達障がいに対する対応と家庭環境・親子関係の影響からくる症状への対応は全く異なるものになるからです。

例えば、全く親の言うことを聞かず、情緒不安定で混乱している子どもがいるとします。この子がASDの場合、ASDは自分の周りで「今、何が起きているか」「この後、何が起きるか」「自分は何をすればいいか」が明確に整理されていない場合、状況理解が難しくなり混乱してしまうことがありますので、「活動別に場所を決める」ことが有効な場合があります。つまり、「休む場所」「勉強する場所」をあらかじめ決めておくということです。

また、ASDは聴覚情報を理解しにくく、視覚情報をより理解しやすいという傾向がありますので、イラストや写真、文字の書いてあるカードを作り、コミュニケーションに活用する方法がとられることもあります。

逆に、家庭環境や親子関係から来ている症状の場合は、親やセラピストが情緒的に安定し一貫した態度で子どもに安心感、信頼感を持たせること、子どもが自分の感情を素直に感じ、表現できる環境を作ることなどが重要になってきます。

このように、発達障がいが疑われる場合はまず、正しく相手の特性や状態を把握するということが最も求められることになります。

発達障がいのグレーゾーンについて

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春井星乃

春井星乃Harui Hoshino

お茶の水女子大学大学院博士前期課程修了。臨床心理士として精神科クリニックに勤務し、東京都スクールカウンセラーも経験。心理学・精神分析・エニアグラム(9つのタイプによる性格分析法)を通して、人間の性格構造を明らかにする「イデアサイコロジー」を提唱。著書に『「目覚め」への道の歩き方』。

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