ほしのかたちみ~イデアサイコロジーの世界~
前回はエニアグラムタイプ判定についてお話ししましたが、「複数当てはまって1つに絞りきれない」と感じられた方も多いのではないかと思います。エニアグラムタイプが分かりにくい場合、遺伝的影響や乳幼児期・児童期、中学生以降の親子関係などの影響が強いケースがありますので、今回はエニアグラム以外のフィルターの分析法と、そのフィルターの特徴を知ってより幸せな人生を送るためのコツをお話ししてみようと思います。
では、まず最初に「遺伝的影響のフィルター」の分析法について見ていきましょう。遺伝的影響というと「遺伝子検査でもしないと分からないんじゃ」と思う方もいらっしゃいますよね。イデアサイコロジーでは、遺伝子検査をしなくても「両親のうちどちらに外見的特徴が似ているか」を見ることである程度はこのフィルターの内容を知ることができると考えています。つまり、目、鼻、口、顔の形や身体つきなどを見て、単純に見た目が似ている方に性格や才能も似ているとしているんですね。イデアサイコロジーでは特に目を重要視していて、目が似ている親と自分の性格の共通点を見ることで、「遺伝的影響のフィルター」の内容を探ることができると考えています。
次の「乳幼児期・児童期の経験のフィルター」の分析は、0~12歳の頃の自分の記憶を掘り起こす作業になります。「中学生以降の経験のフィルター」と同様なのですが、この2つのフィルターは「自分とは~だ」「他者とは~だ」というイメージによって作られています。なので、0~12歳の自分が「両親や兄弟、友人や幼稚園、学校の先生からどのように思われていたか」(=自己イメージ)、「両親や兄弟、友人や幼稚園、学校の先生をどのように思っていたか」(=他者イメージ)ということをメモやスマートフォンなどに書き出してみると、この「乳幼児期・児童期の経験のフィルター」の内容が分かってきます。
「中学生以降の経験のフィルター」も、「中学生以降の親子関係、友人関係、恋愛、学業、仕事、結婚、子育て、趣味、思想、専門知識」などを通した自己・他者イメージから作られるので、その中で今の自分に大きく影響している出来事を書き出してみるのがお勧めです。
さて、ここまでエニアグラムタイプのフィルターを含めた4つのフィルターの内容を分析してきましたが、「じゃあ、どうしたらより幸せになれるの?」ということが気になりますよね。イデアサイコロジーでは、この4つのフィルターの内容を知り、良い方向に自分でコントロールすることによって、人間関係も仕事もすべてうまく行くようになると考えています。そして、この「フィルターの意識化とコントロール」を行うことを「フィルターをクリアする」と呼んでいるんですね。
でも、ただ闇雲にクリアすればいいということではなく、クリアの仕方には実は順番があるんです。これを説明するために、まず4つのフィルターの並び方についてお話ししますね。最も浅いところにあるのが「中学生以降の経験のフィルター」、次が「乳幼児期・児童期の経験のフィルター」、3番目が「エニアグラムタイプのフィルター」、一番深い場所にあるのが「遺伝的影響のフィルター」となっています。この4つのフィルターは、浅い部分ほど意識しやすく変化させやすい傾向があり、奥に行くほど意識しにくく変化しないものとなっていきます。
そして、この4つのフィルターには、①「中学生以降の経験のフィルター」「乳幼児期・児童期の経験のフィルター」がクリアされていないと、「エニアグラムタイプのフィルター」はクリアできない、②「エニアグラムタイプのフィルター」をある程度クリアできれば「遺伝的影響のフィルター」もクリアしやすくなるというシステムがあります。
なので、私たちが幸せな人生を送るためには、まず「中学生以降の経験のフィルター」「乳幼児期・児童期の経験のフィルター」をクリアすることが重要になってきます。つまり、この2つのフィルターを意識化し、その中に思い込みや歪んだ信念などがあるのであれば修正し、無意識にコントロールされずにその場の状況や自分の目的、夢、周囲の人たちの状況を考えた上で最も良い選択をするということが大切なんですね。
その上でエニアグラムタイプを知り、タイプの不安に動かされるのではなく、タイプの長所をうまく活かすことができるようになると、遺伝的影響もコントロール可能になりますので、エニアグラムタイプと遺伝的特性、そして乳幼児期・児童期・中学生以降の経験をすべて統合した「本当のわたし」を生きることができるようになるんですね。
イデアサイコロジーのシリーズ、いかがでしたでしょうか。「もっと詳しく知りたくなったよ」という方は、ぜひイデアサイコロジーのサイト、もしくは4月に出版された『人間と心のしくみを知って人生を変える「目覚め」への道の歩き方』をご覧いただければ幸いです。
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お茶の水女子大学大学院博士前期課程修了。臨床心理士として精神科クリニックに勤務し、東京都スクールカウンセラーも経験。心理学・精神分析・エニアグラム(9つのタイプによる性格分析法)を通して、人間の性格構造を明らかにする「イデアサイコロジー」を提唱。著書に『「目覚め」への道の歩き方』。