心の風邪にかかってしまった場合、しっかりとした休養を取ることは必要ですが、休養ののち意欲が湧いてきたからといって、以前の生活に戻ろうと焦ってはいけません。
会社勤めの方はついつい仕事のことを考えて復帰を焦りがちですが、ここで焦ってしまえば、よくなりかけていた状態が再び悪化し、それによって出勤が困難となったり、出勤できても仕事が全く手につかないなど、休職していた時よりもよくない印象を周囲に与えてしまうことにもなりかねません。
まずはゆっくりと、徐々にこころや体を慣らしていくこと――。
再出発への第一歩はまずそこから始まります。
再出発に向けての準備段階では専門家の先生や家族、学校の先生、または会社の上司などとも綿密に相談しあいながら、タイミングなどを決めていきましょう。
急に休養前の様に生活し始めると再発してしまうリスクが高くなりますので、まずは生活リズムを整えることから始め、それが出来たら次の段階へ――というように、徐々に前の生活サイクルに戻していきます。そうしていくことによって、こころと体が段々と元のリズムを取り戻していきます。
例えば、会社への出勤の場合、ひとまずは朝の通勤時間帯の雰囲気に慣れるために会社には入らなくても会社の近くまで行ってみる、それが出来たらその日はそこまでにして、また次の日今度は会社の中まで入ってみる――といった『リハビリ出勤』を試してみるのもいいかもしれません。ただし、無理は禁物です。少しでもつらいと感じたらその日は無理せずゆっくりと休みましょう。
出来ることからコツコツ積み重ねていくことが必要です。
「いついつまでに―。」と復帰の期限を決めたりするのではなく、長くかかってもいいんだと開き直って、自分のペースでこころと身体を慣らしていきましょう。
復帰は決して一人だけの力で出来るものではありません。家族や友人、会社も含めた周囲のサポートがなければ、とても難しいものです。
例えば、一番身近で接している家族の場合、『暖かく見守る』ということが復帰に向けて動き始めた時にとても大きな支えとなるに違いありません。
過度な期待は押しつけず、ゆっくりと見守る。急がず慌てず、相手のペースに合わせて支えてあげる、ということが何よりも大切なのです。また、積極的に学校や会社、専門家の先生と情報を確認しあい、本人をサポートする環境を整えてあげることも重要です。そして、この情報の共有は、本人が再出発を果たした後でもしっかりと行い、少しでも変化があった場合にはすぐに相談できる態勢を作っておくとよいでしょう。
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