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麻衣子先生のカウンセリングルーム

Case.2 母が亡くなってから何も出来ない状態が…



何も出来ない状態が続く

病気で寝たきりとなった母のため、仕事を辞めて5年間介護をしてきました。
その母が先月亡くなり、1~2週間は悲しみと疲れで何もできない状態が続きました。最近はこれからどう生きていけばいいのか全くわからず呆然としていることがあります。
また、気分の落ち込みや身体のだるさなどもあり、何かよいアドバイスを頂ければ幸いです。(50代・女性)

今のご自分の気持ちを我慢せずに誰かに話すことです

長年介護をしてきたお母様が亡くなられてお辛いですね。少し前までご自分にとって生活の大部分を占めていた大きな存在の方がいなくなってしまわれたのですから混乱したり無気力になったりするのは当然のことだと思います。それまではお母様の介護をすることで成り立っていた心の持ち方や価値観などが、亡くなられたことで失われ、代わりに寂しさやむなしさで胸がいっぱいのことでしょう。もう少し時間が必要ですね。

でも、亡くなられた直後の大きな悲しみをうけいれ、その後の生きる目標やこころのあり方を模索され始めているので必ず回復されると思います。自分の力を信じて頂きたいと思います。あと大切なことは今のご自分の気持ちを我慢せずに誰かに話すことです。

日本人は表現することを恥ずかしいと思ったり、聴いてもらうことを相手に悪いと思う傾向がありますが、こういう時期は誰かに話して助けてもらうことも必要ですし、また、それによって話す相手とのお互いの絆が深まることもあるでしょう。そのような日々の中でお母様への想いが穏やかになり、その後の人間関係の中で自分の生き方や価値観が新たに生まれていきます。

多くの方は時間をかけながらもそれで解決していくと思いますが、時には違う場合もあります。介護や子育ては、世話をされる側とする側の感情がすべて一致するとは限らず、世話をする人が感情を抑えてしまうことがあります。また、自分の存在や行動が世話をする相手の満足度によって評価されるという傾向があり、自己評価が低くなるということが生じやすいのです。

自分を認めて評価してあげることが必要です

介護や子育てだけに集中すると親や子供がいなくなった後に自分を見失うことが起きやすいものです。もし、ご自分の中にこのような要素があれば、今は自分と他人のバランスを見直すいい機会とも言えると思います。ご自分の心の声(感情や欲求)に耳を傾け、自分を認めて評価してあげることが必要です。人の役に立って喜ばれるのは素晴らしいことですが、人間の価値はそれだけではないということを思い出すことができると現在の気持ちがもっと楽になられるのではないでしょうか。

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麻衣子先生

麻衣子先生Psychologist Maiko

お茶の水女子大学大学院博士前期過程を修了後、臨床心理士資格を取得。東京都心の心療内科クリニックに勤務、東京都スクールカウンセラーにも携わる。

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