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麻衣子先生のカウンセリングルーム

Case.1 小学校2年生の娘が些細な事でかんしゃくを…



些細なことでかんしゃくを起こす娘

小2の娘についてご相談致します。
最近「学校に行きたくない」と言うことが増え心配していたところ、担任の先生から「国語や社会はとてもよくできるが、算数は苦手で授業もきちんと聞いていないよう。休み時間になっても友人と遊ばないことが多い。一度専門家に相談してみて下さい」と言われました。普段は2歳の弟の面倒をよくみて、親のことも気づかう優しい子ですが、最近よく些細なことでかんしゃくを起こすようになりました。
また、先日京都旅行に行ってから、急にお寺や神社に興味を持って名前を覚えるようになりました。何か関係があるのでしょうか。(30代・主婦)

かんしゃくを起こした状況を覚えておきましょう

まず、学習障害とは、読み書き、話す、聞く、推理する、もしくは算数の計算のうち特定の能力に問題が生じるという発達障害の1つです。自閉性障害には、相手の言葉の意味がわからない、視線が合いにくい、偏食、変化を嫌う、手をひらひらさせる、時刻表や歌詞や歴史の年号などを記憶するなど、様々な特徴があります。自閉性障害の中でも、高機能自閉症、アスペルガー症候群という知的障害や言語障害のないタイプのものでは、あまり問題が目立たず、大人になってから診断がつく場合もあります。

ご家庭では上記のような様子を目にすることはありますか?また最近よくかんしゃくを起こすとのことですが、娘さんがかんしゃくを起こすのはどのような時でしょうか。わからない時は、日付と、かんしゃくを起こす前に起こったこと、その起こし方(泣く、ものを投げるなど)、その時の両親の対応、その後の状態を記録していくと、なぜ娘さんがかんしゃくを起こしているのか見えてきますし、その後どう対応すれば治まるのかがわかってきます。

かんしゃくは自分だけを見て欲しいという表現かもしれません

私が気になるのは弟さんの存在です。娘さんは、弟さんが生まれてからご両親の注意が自分だけに向かなくなるという体験をしている可能性が高いです。親は同じように接しているつもりでも、0~2歳では世話が大変ですし、男の子ということで無意識のうちに対応が違ってきたりする場合もあります。
しかも、娘さんはとても優しくて、弟の面倒もよくみて、親にも気づかいのできる子です。自分の寂しさを抑圧してがんばってしまっている可能性もあると思います。かんしゃくや登校を渋るのも、もしかしたらお母さんに自分だけを見てほしいという表現なのかもしれません。

また、算数の勉強をしないことや神社の名前を覚えることなどは、一見発達障害に近いと感じてしまう方もいるかもしれませんが、一概にそうは言えないと思います。全く正常でも、親とは非常に異なる感性を持って生まれてくる子供もいます。
例えば、普通の子は何も考えずに「1+1=2」とすんなり受け入れるのに、「なぜそうなるの?」と考えて、問題に取り組めなくなる子供もいるのです。神社のことも、幼いながらも何か神秘的で崇高な雰囲気に強く惹かれたのかもしれません。

自閉性障害の場合は、あまり意味のない数字の羅列などを覚えることが多いので、娘さんの場合は少し違うように思います。娘さんは感受性が高くて、頭もよく、ある意味芸術家肌なのではないでしょうか。そのような子は、繊細で他人の表情や言葉の裏の意味をくみ取って傷つくこともありますし、周りの子供と感性が合わずに孤立してしまうこともあります。もし娘さんの学校にスクールカウンセラーがいれば、まずスクールカウンセラーに相談すると良いと思います。適切な病院や施設を紹介してくれるでしょう。

お子さんと向き合える時間を作ること

カウンセラーと相談後も、担任、ご両親、病院などと連携して、総合的に娘さんのことを考えてくれると思います。スクールカウンセラーがいない場合は、やはり精神科医や教育相談所に一度ご相談してみた方がいいでしょう。家庭では、お母さんが週に1時間でも娘さんと向き合える時間を作れるとよいと思います。その時間は娘さんがやりたいと言うことを一緒にしてあげて下さい。
また、一緒に登校したり、授業を見学してもよいでしょう。その際、弟さんは誰かに預けられるとよいと思ます。あくまで娘さんだけを見ているというメッセージが大切です。軽い場合はこれだけで改善することもあります。かんしゃくを起こすことで表現していた気持ちを言葉で表現するための手助けになるでしょう。

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麻衣子先生

麻衣子先生Psychologist Maiko

お茶の水女子大学大学院博士前期過程を修了後、臨床心理士資格を取得。東京都心の心療内科クリニックに勤務、東京都スクールカウンセラーにも携わる。

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