ヌース対談 高橋暢雄氏×半田広宣
半田 広宣/ヌースコーポレーション代表
わたしは健康に関わる仕事をやっているわけですが、健康に対する考え方が一般に言われているものと少し違うところがあります。今はホリスティックヘルスという言葉がすごく流行っていますよね。これは全体の健康抜きに個人の健康はあり得ないという考え方です。
例えば日頃いくら食べ物に気をつけていても、地球が不健康なら人間の身体は食物連鎖によって自然と誘導していますから、身体は健康にはなりっこない。そういう考え方ですね。わたしの場合、食べ物、環境云々というよりも、最も健康であるべきは心や魂であるべきだと思っているんです。
ですから、物質的に多少不健康であっても、魂が健康であれば、そちらの方がはるかに健全だという考え方を持っているわけです。わたしが携わっている業種では多くの会社が様々な健康製品を出していますが、そういった着眼点で物を売っているようなところはあまりなくて、サプリメント類にしても健康器具類にしても物質的な発想からの商品が多いんですよ。
もちろん、それはそれで活用すべきなのですが、ヌースの製品の場合は根本的なところが違っていて、ちょっと大げさかもしれませんが、人間の意識というか、魂と世界、宇宙の関係までを視野に入れて、真の意味でのホリスティックな健康理念を立てて商品開発をしているんです。
高橋 暢雄氏/武蔵野学院大学学長
非常にいい考えだと思います。
例えば豊かさというのはいろいろな定義があって、昔の人が言ったように貧乏だけど幸せ、というようなことをよく言われますよね。健康という点で言えば、病気がないことが本当に健康なのかということになると、「一病息災」という言葉は一体何なのかということになりますので、病気に対しての不安や恐れがない状態が健康、もしくは幸せというようなことになると思います。
経済でも同じことが言えると思います。
スピーディーに発展させようとすると、途中にある問題点を無理に解決しようとして新たな問題を生むわけです。ですので、気付くと自然と発展していたという状態が本来の形だと思うのです。
これは肉体的なことでも同じだと思います。急激に効くものもある面では大切なのですが、反動があってはなんの意味もありません。強引な治療をすることで、逆に身体を弱らせたりすることもありえるわけですから、一番いいのは、どのような形であれ、自然に回復を前進させていくことだと思います。
ですから、私は何よりも調和というんでしょうか、バランスを取りながらゆっくり進むという考え方は重要だと思います。
今、高橋さんがおっしゃられたバランスという意味でも、私は不健康を排除する、敵視するっていう考え方があまり好きではないですね。現代医療の根本理念は悪いものを排除するというところにあるでしょう。でも、その現代医療を批判する人たちも、結果として西洋の医療の在り方を過度に排除しようとする考え方を持っている。わたしの考え方では、根本のところはどっちもどっちです。
本当の健康というのは、多少の悪を含むものだと思います。その悪に対して抵抗力をつけながら大全としての善を為す、というところに健全さがあるのではないでしょうか。とにかく、あるゆることに対してバランスをいかに取っていくかということに一番注意が向けられなくてはいけないのだと思います。
わたしの会社が、心のためのサプリメントを出しているのもそのあたりの理由からです。
世の中には栄養面など物質的身体を支える健康食品はたくさんあるんですが、心的身体を支える食品となるとほとんどないんですよ。今までの健康観というのは、いつも物質的身体が優先で、心的身体の問題はほとんど考えていなかった。ところが今の世の中を見ていると、本当に病んでいるのは心ではないか、と感じてしまうんですね。それならば、そこを何とか改善していくための製品を世に送り出そう、と思ったわけです。
心のサプリメントというのは素晴らしい発想ですね。
うまくいく、いかないを追いかけているばかりに、不安を増大させているっていうことがありますよね。このようなときは、いつのまにか等身大の自分でなくなっています。
だから心のサプリメントというのも日頃から使うことで、これからどうなるかという不安よりも、自分たちが落ち着いた形で物事が進められる環境を整えるという意味で、非常に有用なものだと思うんですね。
そのようなバランスを意識し、心の重要性というものをしっかりとらえられているところが、ヌース製品の理念の素晴らしいところだと思いますね。
とにかく何かを急に良くしようとしたり、治そうとしたりすることじゃなくて、ゆっくりゆっくり自分のペースでやっていって落ち着きを取り戻させること。そういう体質というか気質ができれば、気づくともう良くなっているんですよね。そして何より申し上げたいのは、これは教育に似ているんです。
学校というところは、面白いのかつまらないのかと言われれば、普段学校を面白いと思っている子供でも、当然毎日が面白いわけではないんです。でも、自分の居場所を感じられたり、自分の立場があるように感じられたりして、不安な部分がなくなってみると、本人たちは学校が楽しいと感じてきます。そこで初めて自分が何に向いているのか、何なら出来るのかということに気づくんですね。
近年、一部の学校では成績がどうかとか、何番だといいとか、そういうものが取りざたされがちです。けれども、教育というのはすぐに成果がでるものではありません。ですので、その分周囲の雰囲気や環境を整えながら不安を無くしていく居場所を作り、それで初めてペースが掴めるようになる、そのことによって何より周りとの信頼のようなものが生まれるんだと思います。
自分のペースで成果がだせるということが非常に重要なので、ヌースのグッズであれ、心のサプリメントであれ、そういった環境作りにとても役立つのではないでしょうか。いずれにしろ、ヌースの会社や製品の背景にヌース理論という理念があるということは、非常に大きな可能性を持っていると私は感じますね。
非常によいお話を聞かせていただきました、ありがとうございました。
ヌースの理念と学術と現代社会の問題点
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1966年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、保険会社勤務を経て、武蔵野学院に奉職。中学高等学校長、幼稚園長等歴任の上、現在は学校法人武蔵野学院理事長、武蔵野学院大学学長。
専門分野は現代思想・政治思想。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得満了。
高橋 暢雄氏(武蔵野学院大学学長)
大野 章氏(東邦大学医学部元助教)
横井 篤氏(カイロプラクティック治療師)