ヌースコーポレーション|NOOS CORPORATION

メニューを開く
資料請求

代表 半田広宣

with コロナ時代をどう生きるべきか

MESSAGE FROM CORONAVIRUS

― コロナウイルスからのメッセージ ―

新型コロナウイルス

自然界からの緊急事態宣言

世界中を混乱の渦に巻き込んでいる新型コロナウイルス。なぜ2020年のこの時期にこのようなウイルスが暴れ出したのか?それを私なりの解釈でお話したいと思う。

エボラやHIVのように高い致死率ではないにもかかわらず、このウイルスは経済活動に壊滅的な打撃を与えている。人類が数百年かけて築き上げてきた資本主義のシステムの体制は今やハチの巣をつついたような騒ぎになり、その結果、人々の日々の暮らしも大きく揺らいでいる。しかし、この状況は偶然に生まれたわけではないだろう。物事には、何事も原因がある。

あくまでも直感的な話だが、ここには二つの大きな要因があるように思える。一つは、言うまでもなく環境破壊の影響。もう一つは遺伝子技術の発達だ。エボラ出血熱などはアフリカ中央部の発祥だが、元々未開な土地の風土病とされていたウイルス感染が、近年のグローバル化による環境の激変とともに文明圏へと流れ込んできたと想像するのは容易い。AIDSやSARSなどに代表される新たなウイルス性の感染症の多発は1980年頃から始まっている。

遺伝子研究が急激に活発化したのも同じ時期だ。その意味で、今回の新型コロナウイルスの出現は、人間が立ち入るべきでないマクロ、ミクロ双方の自然領域への侵入に対する応答として、自然側が送り返してきたものだとも言えるのではないだろうか。皮肉めいた言い方をするなら、これは、人間による感染を防ぐための自然サイドからの緊急事態宣言のようなものだろう。非常事態が起こっているのはむしろ自然の方だと考えた方がいい。

それにしてもウイルスとは一体何者なのだろうか。近年多発している感染症の原因となっているウイルスには一つの特徴がある。その多くはいずれも「RNAウイルス」だという点だ。RNAウイルスは、体内に侵入すると、細胞膜を破って細胞核の中に入り、宿主のDNAの複製システムを使って自らの遺伝情報をコピーし、そこで仲間を繁殖させていく。つまり、独力では増殖できない。

ウイルスと生物の共生関係

こうしたRNAウイルスの性質を見ていると、これらがそのまま現代人の意識の在り方を反映しているようにも見える。みなさんの周りにも、自分では主体性を持つことができず他人の意見や考え方をそのままコピーして生きているような人がいらっしゃるのではなかろうか。宮崎駿のアニメで言うなら「カオナシ」だ。世間一般の価値観だけに寄り添って、それによってしか自分という存在を維持できない人。こういう人たちのことをここでは「他者化した人々」と呼んでみよう。

人間は自らの主体性の確立がなければコンピュータのような自動機械になってしまう。その結果、外部の情報のみに依存するようになり、結果、情報に振り回される。最近のSNSにおけるフェイクニュースの広がりなども現代人のこうした「他者化した人々」の状況をよく表している。

コンピュータ技術の進歩は私たちの生活を便利にもするが、同時に、こうした他者化した人々を多く出現させてしまう原因にもなっていることも事実だ。その意味で、コンピュータとRNAウイルスもまた深い繋がりを持っているのかもしれない。

では、このようなウイルスは忌むべき悪的存在であり、駆逐すべきなのかと言うと、それは違う。最近の学説ではウイルスと生物は共生し、互いに刺激しあいながら進化してきた関係にあるというのが主流になっている。生物は進化の過程でウイルスを自分の中に取り込み、それによって進化してきたと言うのだ。

そこで、今を生きる私たちへ話を向けよう。私たち現代人は自分たちの欲望のために自然環境を破壊しながら、物質的価値観中心のライフスタイルを作り上げてきた。このような価値観が続くなら、もう人間は持たないと思っている人たちも今はたくさんいる。そういう人たちは人間の劣化を薄々感じ取っている。

近年に見る心の病の劇的な増加も私たちのこのようなライフスタイルと決して無関係ではない。今回のコロナウイルスの出現は、こうした現代人に対しての自然からの最後通告のようにも思える。

時代は転換期を迎えている

物質的価値観からの大転換がこれから起こるのであれば、経済活動は大きく後退するに違いない。しかし一人ひとりがしっかりと内的な価値を築きさえすれば、経済の低迷などは恐れるに足らない。そこには、倫理的な「繋がり」の観念が育ってくることになるだろう。

物質的価値に頼っている人は敵対者が現れたら必ず排除や攻撃を行う。今回のウイルス禍に対しても、戦争や戦いをイメージする人たちがいるが、社会が排他的に対抗しようとするなら、いずれは、より毒性の強いウイルスが現れ、必ずやしっぺ返しをくらうことだろう。これからの時代はウイルスと共生するという考え方が必要だと感じる。

わたしは会社の設立当初から、自然のミクロとマクロも、心と身体も、すべてはつながっているという考え方をモットーにしてきた。例えば、細菌はミクロ世界の生き物だが、森の生態系をコントロールもしていれば、人間の身体の発育や心の発育にも密接な関係を持っている。今回の新型コロナウイルスの出現も、これからの人の心の在り方や社会の在り方に大きな影響を及ぼすことだろう。

そんな中、今、私たちは何をすべきか?今こそ、私たちは社会の理想的ビジョンを語る時ではないか。現実は大変な状況にあるが、こういう時にこそ、人は本来どういう生き方をすべきか、社会はどうあるべきかを考えないといけない。別に不安から逃避して、現実から目を逸らせと言っているのではない。このような未曽有の危機だからこそ、そこに救いの希望もあるのだ。私たちは一体何のために生きているのか。一人ひとりが生の原点に立ち帰って、そのことを自然の記憶の中で思い出す必要がある。

株式会社ヌースコーポレーション 代表取締役

半田広宣